早稲田大学・政治経済学術院の男子学生が、指導教員の立場にあった女性准教授(当時)から性行為を強要されるなどのハラスメントを受けたとして、准教授と大学を相手取り、計750万円の損害賠償をもとめて東京地裁に起こした裁判で、学生と大学との間で和解が成立した。

和解は5月17日付で、学生の代理人が明らかにした。内容は、大学が、女性准教授による男子学生との多数回の性交渉を事実として認め、男子学生に謝罪するというものだ。大学が、男子学生に解決金100万円を支払う義務があることも認めている。

学生の代理人によれば、女性准教授は性交渉を認めず、学生との訴訟は続いている。

●大学は一転して性交渉を認めた

和解では、大学が次の内容を認めて「深く謝罪」している。

2017年3月から2019年5月までの間、女性准教授が男子学生と多数回性交渉をし、これがハラスメントにあたりうると認めたほか、准教授が自分の子どもの世話をさせるなどのハラスメント行為をしたこと。

また、和解の中には、大学が教職員による学生へのハラスメントについて再発防止に最大限尽力するとされている。

●海外出張で一緒の部屋に泊らせる「アカハラ」で懲戒処分されていた

男子学生は2014年、早稲田大政治経済学部に入学し、2018年に大学院修士課程、2021年から博士過程に進学した。

准教授による性行為強要について、大学のハラスメント防止委員会と第三者委員会はいずれもハラスメント行為はなかったとする結果を出していた。

男子学生は2022年3月25日、提訴時の記者会見で、准教授との関係に苦しみ、自殺も考えたとうったえたほか、大学に対しては「ハラスメント防止委員会や第三者委員会の調査はあまりにアンフェアで正義ではない」と批判していた。

その後、大学は同年6月に「海外への研究出張に学生を同行させ、一緒の部屋に宿泊した行為」など複数の項目についてアカデミックハラスメントを認定し、准教授を停職6カ月の懲戒処分とした(その後、依願退職している)が、セクハラや性交渉については認めていなかった。