「極寒倉庫で手はあかぎれ」組合加入の出版社営業職、配置転換は「無効」…東京地裁

薬学系の出版社で、労働組合に加入していた従業員2人が、本社から片道約1時間かかる倉庫での業務に配置転換されたのは不当だとして、会社側を相手取り、地位確認や慰謝料を求めた訴訟の判決が3月21日、東京地裁であった。湯川克彦裁判官は、うち1名の配置転換を「無効」としたうえで、会社側に対して原告それぞれに30万円の慰謝料を支払うよう命じる判決を言い渡した。

判決文などによると、原告らは、出版社「廣川書店」(本社:東京都文京区)で、営業職として働いていた。いずれも労働組合に加盟していたところ、昨年2月、本社ビルから片道約1時間かかる梱包会社(埼玉県戸田市)の倉庫内の一角での業務に配置転換された。原告代理人によると、「倉庫内にパーティションで区切っただけで、近くをフォークリフトが走っている」ような状況だったという。

この会社に対しては、継続雇用に関する非組合員との差別的取り扱いや、団体交渉の拒否などで、これまでも複数回にわたって労働行為救済命令が出ていた。こうした状況の中で、この配置転換が出たことから、原告2人は昨年4月、組合員を本社ビルから排除するという不当な目的で配置転換を命じたなどとして、倉庫に勤務する義務のない地位確認や慰謝料を求めて提訴した。

東京地裁の湯川裁判官は「配置転換は、業務上の必要性がなく、裁量権を濫用したもとして、違法・無効である」と判断。原告1名の地位確認については、今年2月に定年を迎えているため訴えの利益がないと退けながらも、もう1名についての配置転換は無効だと認めた。そのうえで、会社側に対して、原告それぞれに慰謝料30万円を支払うよう命じた。

原告側は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。原告1人、寺山喜美子さんは「壁を少し区切っただけの状態で、扉もなく風もビュンビュン入ってくる倉庫だった。冬はコートを着ないと、寒くてとてもいられない状況で働いていた。手はかじかんで、あかぎれで血をにじませながら本をあつかっていた。今回の判決にほっとしている」と語った。

会社側は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「担当者が不在で、回答できない」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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