下着を持ち去って撮影した後、元の場所に戻した男性逮捕…それでも窃盗容疑になる?

女性の下着を盗んだとして、奈良県香芝市の小学校教諭の男性が9月21日、窃盗の疑いで奈良県警橿原署に逮捕された。

報道によると、男性は、橿原市内の住宅にあった下着1枚を盗んだ疑いを持たれている。職務質問を受けて、スマートフォン内に下着の写真や動画があることが確認された。警察に対して、「盗んだ後に車の中で撮影し、現場へ戻した」と話しているという。

一度持ち去った後に返却しても、窃盗罪になるのだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。

●返却したことをどう考えればいいのか?

「窃盗罪は財物の占有を侵害することにより成立します。

今回のケースのように、一度持ち去った後に返却した場合でも、財物に対する占有を侵害している以上、窃盗罪は成立します」

返却していてもダメなのか。

「確かに、一時使用の場合は窃盗とならない、という考え方があるのですが、その際には、一時使用と区別するものとして、不法領得の意思があるのかどうかが問題になります。

不法領得の意思とは、判例によれば、権利者を排除して、その財物の経済的用法に従い、利用または処分する意思のことをいいます。つまり、本来の権利者を追い払い、自分が権利者のように振る舞い、経済的用法に従って使用したり、処分したりする意思があったのかどうかということです。

下着泥棒でいうと、下着を盗んでその場所から持ち去ってしまい、自らの下着として利用した場合は、その財物の経済的用法に従った行為といえるでしょう。それだけでなく、下着を頭にかぶったり、においを嗅いだりしても、実務上、不法領得の意思があるとされます。もちろん、下着の撮影目的についても同様に、不法領得の意思があると認定されるでしょう。

ですから、今回のケースでは、一時使用ではなく、窃盗罪が成立すると考えられます。返却したことは、犯行後の情状のひとつとして考慮されるにすぎません」

どう考慮されるのか。

「もし、証拠の隠滅をはかったということであれば、犯行を隠す行為であり、良い情状でありません。また、仮に被害回復として現場に戻しても、盗まれたとわかった後に、持ち主がその下着を再度使用することは、通常はないでしょうから、良い情状とは言えないでしょう。

今回のケースにおいては、窃盗罪が成立しますが、もし、裁判にかけられ、懲役刑を宣告されると、たとえ執行猶予がついても、公務員は失職します。あまりにも大きな代償と思います。ですので、撮影目的であっても下着を持ち出すことはやめた方がよいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
佐賀県弁護士会。2010年4月〜2012年3月、佐賀県弁護士会・消費者問題対策委員会委員長。元佐賀大学客員教授。借金問題、刑事・男女問題など実績多数。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/

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