大雨警報が出ているのに「出勤しろ」、命令に従わなくてもいい?

全国で大きな災害が発生するたびに、Twitterで話題になるのが、「会社からの出勤命令」だ。地震で電車が止まったり、大雨の予報が出たりしているにも関わらず、上司から「出勤しろ」と連絡があり、無理やり出社。その後、帰宅難民になるなど、災害に巻き込まれるケースも少なくない。

7月6日から8日にかけて西日本で記録的な豪雨となった際、子育て中の女性が警報が出ているにもかかわらず、夫は会社に出勤しろと言われたといい、Twitterで「地震とか大雨とかの災害時は、出勤やめよ? 時間かけて判断渋るのもうやめよ? いくら警報で『命を守る行動を』とかいわれてもさ、災害時にひとりで子供3人守るの厳しいよ?」と訴えかけた。

6月18日に発生した大阪府北部地震も、午前8時ごろに発生したため、出勤の足を直撃、多くの交通公共機関が停止した。Twitterであるユーザーが、「知人の会社で新卒の社員7人が一斉に退職届を出す騒ぎが起きた」とツイート。その理由は、地震で電車が止まり、出勤できないと部長に伝えたところ、「何が何でもこい」と指示を出され、「非常時に社員を守れない会社は嫌だ」と反旗を翻したためだったという。

災害の最中でも、会社からの出勤命令には従わなければいけないのだろうか。もしも、従わなかった場合、会社からペナルティはあるのだろうか。白川秀之弁護士に聞いた。

●労働者の生命に危険が生じることが明らかな場合は「出勤させない義務」も

災害で交通機関が止まったり、道路が寸断されるなど、復旧の見込みがない場合、上司から「出勤命令」が出たら、絶対に会社に行かなければいけない?

「労働者は、始業時刻に間に合うように出勤する義務があります。ただし、地震や豪雨などの天変地異により交通機関が止まっている場合に、長距離を歩いて出勤したり、地震や豪雨後の安全が確保されていない段階で出勤をする義務はありません。

そのような場合には、出勤命令を拒否することも許されます。また、欠勤を理由に減給したり、懲戒処分を課すことはできません。もし、地震や豪雨後に出勤に不安を感じた段階で上司から出勤命令を受けた場合には、命令を受けた状況、上司とのやり取りの内容、職場までの距離等を記録しておくべきでしょう」

会社には大きな地震や豪雨などで交通機関が止まった際、会社を休ませるなど社員の安全に配慮する義務はないのでしょうか?

「法令にそういった義務が明文で書かれたものはありません。安全配慮義務違反になるかという観点でいうと、会社が特定の措置をとる法的な義務があるかは、個別的な状況によります。

例えば、記録的な天変地異で、通勤によって労働者の生命、身体に危険が生じることが明らかなような場合は、出勤をさせないように指示をする義務が生じる場合もあるでしょう。

事例のように、地震や豪雨によって交通が止まり、安全に出勤できるめどが立っていないのに出社を命じた場合は、積極的に出社を命じている分、地震や豪雨が原因で事故等が発生した場合に会社の責任が認められやすいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
白川 秀之(しらかわ・ひでゆき)弁護士
2004年、弁護士登録。労働事件が専門だが、一般民事事件も幅広く扱っている。日本労働弁護団常任幹事、東海労働弁護団事務局長、愛知県弁護士会刑事弁護委員会委員。
事務所名:弁護士法人名古屋北法律事務所
事務所URL:http://www.kita-houritsu.com/


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