顔専門のトレーニングジムが青山と銀座にオープン。体力的に全身用のジムは無理ですが、顔だけならいけるかもしれないと思い、オープン直後の「FACE LIFT GYM」青山店を予約しました。

美容機器で定評のあるヤーマンのお店なので期待が高まります。

頭皮や表情筋をもみほぐして顔の印象をアップ

予約したのはFACE LIFT GYMの基本コースである「SIGNATURE」30分5000円(税抜)で、美容機器で頭皮や表情筋をもみほぐして、顔の印象をアップさせてくれるようです。

こちらの連載は基本的に自腹で普通の客として行っているので、5000円という手頃な価格設定がありがたいです。ちょうど連日マスクをつけていたら、マスクで覆っている部分に対する意識がおろそかになり、顔下半分のたるみが気になっていたところでした。

最新機器が揃っていました。この場で購入もできるそうです

ジムに入ると、中は真新しくてグレーで統一されてアーパンな雰囲気。ただトイレが5階にあり(階段のみ)、肉体的にも鍛えられます。

席に座り、マンツーマンでトレーナーさんのカウンセリングと施術を受けます。まず、メイクを落としてから肌の測定がありました。左頬にチェックの機器を当てると......キメやシミ、透明感、毛穴、角栓などが判定。美肌値が5点中2.9点という結果に戦慄。肌が乾燥気味で、毛穴も開いているという査定コメントまで。大人になってからの肌測定は子ども時代の通知表以上に緊張します。

腕の内側のキメと比べると如実に崩れている左頬のキメ。顔が腕の裏側の位置にあればよかったです......

さらに腕の内側(この部分の肌が理想の状態だそうです)のキメも測定し、頬のキメと比較するという、自分内公開処刑のような状態に。「理想的なキメはもっと三角形の形状をしています」......ライザップ級に厳しい現実を突き付けられました。

 

最新機器で顔面の筋肉をトレーニング。ハードな刺激で心身が鍛えられます

最初に頭皮ケアマシン「ミーゼ」で頭皮や首、肩をつまんでマッサージ。今思えばこの時が一番気持ちよかったです。

トレーナーさんが適度な圧で押し当ててくれるので結構きいている感じです。キュィーーンという音が響き、未来のサロンに来た感じで高揚。

顔と頭皮はつながっているので、頭皮を時々マッサージするのは大切です。このマシーンが1万円台と聞いて心が動きましたが、似たような他社製品が家にありました......

続いて小さいボール(こちらはヤーマンとは関係なく市販のものだとか)を転がして首やこめかみ、フェイスラインを刺激。とくに念入りに咬筋のあたりを転がし、筋肉をゆるめていきます。ここは喋ったり咀嚼したりでよく使う筋肉ですが、使いすぎるとエラが張ってしまうので、ボールでゆるめるのが良いそうです。

指ではなくボールを転がすことで均一に力を加えられます。そう聞くとこのボールがかなり欲しくなりましたが、ヤーマンさんの商品ではないので売っていませんでした(今度駄菓子屋でスーパーボールを探します)。

ここまでかなりリラックスしましたが、次にトレーナーさんが黒いマスクを手にしていて、何かすごいのが来ました。独自波形のEMSで表情筋を刺激するウェアラブル美顔器、メディリフトです。

EMSの刺激で顔の下半分の筋肉を鍛えてくれるメディリフト。防滴仕様なのでお風呂の中でも「ながら美容」できるそうです

「あの、ピリピリしないですよね?」と怯え気味に聞くと「電流が流れるので刺激があります」とのこと。

ジェルを塗って装着したのですが、ゴムがかなり強めに顔と首が巻かれています。若干の苦しさがありますが、美は痛みに耐えてこそ......ここはジムなので多少の厳しさは受け入れていきたいです。

電流の刺激は、「シュワシュワ」と「ピリピリ」が混じった感じで思った以上のSなマシーンでした。マスクを付けた自分の姿は、デパートメントH(フェティッシュなイベント)の参加者のようで、新たな世界の扉が開かれたようです。

「痛み大丈夫ですか?」「できれば一番弱い出力でお願いします」

微弱なEMSでなんとか初心者でもいけました。10分後、このゴムバンドを外した時が、今日一の解放感でした。

メディリフトを付けた状態でもボールでマッサージしてもらえました。30分という短い時間ですが充実しています

続いての美容ローラーも、思った以上の電流マシーンでした。

私が所有している他社のローラーは電流がほとんど出ないのでそんな感じかなと油断していたら、「ドドドド!シュワシュワシュワ!」という刺激がきて「あっ!」と叫んでしまいました。(隣のお客さんも、同じ行程で「うわっ」とか言ってました)

とくに骨とか歯に響きます。あとで調べたらEMSは歯の詰め物に反応するとか......。自慢じゃないですが、これまで数十本虫歯治療しているので詰め物が反応しまくっていたようです。こめかみも骨に近いので響きました。こちらも微弱な出力でお願いしました。お店の方によると、最初は痛くても慣れたら大丈夫だそうです。

プレイのように刺激的だった顔トレーニングは終わり、このまま化粧が落ちた状態で青山を歩くプレイかと思ったら、化粧直しセットが用意されていて心遣いがありがたいです。

終わって鏡を見たら、引き締まっているというか、都会の試練を一つ乗り越えた女の顔になっていました。

青山の大通り沿いにこんな一棟丸ごとジムを建てられるとは、かなり景気が良さそうです

辛酸なめ子

1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。