施工不良問題で苦境に立つ賃貸アパート大手レオパレス21の株価が6月5日、前日比34円(14.4%)高の270円まで一時、上げた。年初来高値は5月29日の284円だ。大株主の村上世彰氏が「数百億円規模の増資を引き受ける」と、テレビのニュース番組が報じたことから買いが集まった。

 例年、6月下旬に開いていた株主総会を7月以降に延期した。新型コロナウイルスの終息が見通せないなか、多くの株主や会社関係者が参集する株主総会は感染リスクが高いための措置だ。株主総会の日取りは未定である。株主総会が開かれれば、村上氏と会社側の攻防の第2ラウンドになる。

 2月27日に開いた臨時株主総会で、大株主の投資会社レノなどによる株主提案を否決した。レノは村上氏が関与するファンド。有料老人ホームを運営するシティインデックスホスピタリティ社長で村上氏の側近の大村将裕氏の取締役選任を求めた。結果は賛成比率44.48%で過半数に達しなかった。

 20年3月期末時点の大株主は次の通り。筆頭株主は国内投資会社、アルデシアインベストメントで持ち株比率は18.36%。第2位がシティインデックスイレブンスで8.95%。3位は投資用高級ワンルームマンション開発会社エスグラントコーポレーションの6.43%。2、3位の両社はレノグループだ。

「村上氏は巨額増資を引き受けて、経営の主導権を握った暁には、レオパレス21を売却するとみられている」(関係者)

3月期の最終損益は過去最大の802億円の赤字

 新型コロナの感染拡大を受け、決算業務や監査法人による会計監査を含む決算確定に遅れが生じているとして、5月13日に予定していた20年3月期の決算発表を延期。6月5日、やっと発表にこぎつけた。

 売上高は前期比14.2%減の4335億円、営業損益は364億円の赤字(19年3月期は73億円の黒字)、最終損益は802億円の赤字(同686億円の赤字)だった。当初、1億円の純利益を見込んでいたが、昨年11月に304億円の赤字へと大幅に下方修正した。建築基準法の基準に合わないアパートの調査が長引き、改修工事が進まず、入居者の募集を再開できなかったことが響いた。

 施工不良問題を引きずっているところに新型コロナウイルスの感染拡大が追い討ちをかけた。土地所有者にアパートを建てさせて全室を一括で借り上げ、入居者に転貸するサブリースを手がける。契約者の6割が法人で、新人研修や期間従業員の宿舎として活用していたが、新型コロナの影響で利用が急減した。20年3月期の入居率は年間平均で85%弱を見込んでいたが、実際の入居率は80.78%。19年3月期より7.6ポイント悪化した。本来なら就職・進学シーズンで繁忙期となる3月に十分な営業ができず、入居者を増やすことができなかった。

 所有者への支払いが家賃収入を上回る逆ザヤとなるボーダーラインが入居率80%とされる。将来入る利益を前提に、税金の前払い分を資産として計上する「繰り延べ税金資産」を取り崩して214億円の損失を計上した。改修工事費もかさみ、2020年1〜3月期で118億円の特別損失を計上。特別損失は通年で243億円になった。

 業績悪化を食い止めるには、物件の改修をいち早く完了させる必要があるが、これが厳しい。昨年10月時点で、20年末までに改修を終えるとしていたが、新型コロナの影響で工事を中断。4月末に完了時期の延期を決めた。全施工物件3万9000棟のうち不備物件は約3万棟に及ぶが、4月末時点で改修が済んだのは約1000棟にすぎない。

債務超過転落を回避するために大型増資は不可欠

 業績たて直しに向けて構造改革を進める。固定費削減のため人員を約1000人削減する。19年末の従業員数(連結)の14%に相当する。6〜7月に希望退職を募り、8月末に退職する予定。特別退職金の支払いで21年3月期に特別損失を約30億円計上する。役員報酬も削減する。宮尾文也社長は今期中、90%減額。顧問・相談役制度も6月末で廃止する。非中核事業の整理を進める。名古屋市に持つホテルを4〜9月に売却する方針で、グアムのリゾート事業も早期に譲渡する。

 21年3月期の連結決算の売上高は横ばいの4310億円、営業損益は98億円の赤字、最終損益は80億円の赤字を見込む。最終赤字は3期連続となる。入居率は、もっとも需要が多い4月が81.40%、5月は79.91%と損益分岐点スレスレの水準にとどまり、回復のメドは立たない。

 前期まで2期連続の大赤字となったことで財務内容は悪化した。現金・預金は19年3月期末の845億円から、20年3月期末には605億円へ240億円減った。自己資本比率は27.7%から0.7%へ急低下した。債務超過転落は秒読みとなった。債務超過を避けるために大型増資が不可欠だ。

受け皿候補にヤマダ電機が浮上

 株式市場でレオパレス21の売却が取り沙汰されている。受け皿候補として家電量販店最大手のヤマダ電機が浮上した。ヤマダ電機は10月1日付で持ち株会社体制に移行。社名をヤマダホールディングスに変更する。ヤマダ電機の山田昇会長がヤマダHDの社長に就任する。全額出資で事業子会社ヤマダ電機を設立し、家電や住宅関連の販売を引き継ぐ。持ち株会社体制に移行することでM&A(合併・買収)などがやりやすくなる。

 家電量販店市場は頭打ちだとみて、住宅・不動産や金融事業に力を入れる。19年12月には大塚家具を買収した。レオパレス21と組むことで家具家電付きのアパートを提供できる。

 レオパレス21は自力で再建できるのか。それとも売却へ向かうのか。株主総会の日程は未定だが、総会が最大のヤマ場になるかもしれない。

(文=編集部)