安倍政権が歴代最長に、トランプ大統領再選なら総裁4選論拡大も

(ブルームバーグ): 安倍晋三首相の通算在職日数が20日で2887日となり、戦前の桂太郎氏を抜いて歴代最長となった。自民党総裁としての任期は2021年9月だ。首相自身は続投には否定的だが、良好な関係にあるトランプ米大統領が来年の選挙で再選された場合、同党内で任期延長や連続4選に向けた動きが具体化する可能性があるとの見方も出ている。

  安倍首相は20日午前、「短命に終わった第1次政権の深い反省の上、政治を安定させるため日々全力を尽くしてきた」と記者団に語った。残りの任期に取り組む課題については「デフレからの脱却、少子高齢化への挑戦、戦後日本外交の総決算、その先には憲法改正もある」と述べ、挑戦者の気持ちで取り組んでいくとの意欲を示した。

  安倍首相に近い自民党の世耕弘成参院幹事長は、「まさかこんなに長く続くとは思わなかった」と振り返り、経済政策で成果を出し、国際社会でも存在感を増したことが長期政権の理由だと解説する。

  厳しさを増す安全保障環境や不透明な世界経済の下で、トランプ氏ら「非常に難しいリーダーの相手」をしながら、日本のかじ取りができるのは「やはり安倍首相しかいない」という状況に数年前からなってきていると話した。

  岩屋毅元防衛相は、自民党総裁4選について、「米国の大統領がどうなるかによって考え方が違ってくる」との見方を示す。日本の首相は、日米関係を良好に保ちながら国益を追求することが不可欠であり、安倍首相は「トランプ政権に対して国益を損ねることがないよう振る舞ってきている」と評価した。

  こうした声は安倍政権を中枢で支えてきた他の自民党議員からも出始めている。時事通信によると、甘利明税制調査会長も11日の講演で、トランプ米大統領ら強烈な個性の指導者をつなぎ、世界全体をまとめる役割を期待されているとして、総裁任期延長も選択肢の一つとの考えを明らかにした。

  茂木敏充外相は10月発売の月刊誌「文芸春秋」に掲載されたインタビューで、政治状況によって総裁任期を1年、2年延長することは十分に考え得ると語った。二階俊博幹事長も19日の会見で、安倍首相が4選を決断すれば党として全面的に支援したいとの立場を示した。

  15−17日に実施された読売新聞の世論調査では、安倍政権の支持率は49%となり、前回(10月18−20日)の55%から6ポイント低下した。前回調査の後、閣僚2人の辞任と「桜を見る会」を巡る問題で野党の追及が強まった。政党支持率は自民党37%に対し、野党第1党の立憲民主党が7%と大きな開きがある。

  次の首相にふさわしい人を問うと、石破茂元幹事長が21%と最多。2位は小泉進次郎環境相で18%、3位は安倍首相の15%だった。

日米協定では譲歩

  旧民主党政権で副総理や外相を務めた岡田克也衆院議員は、与党内などから日米首脳の個人的関係が強調されることについて、安倍首相が「トラブルにならないように自らの信念を捨てて合わせている」にすぎないと冷ややかな見方を示す。

  10月に署名された日米貿易協定では、農業分野などで「かなり譲ってしまっており、今後さらに要求が出てきた時に切るカードがない状態」と指摘。両首脳が本当にうまくやっているか、「まだ分からない」と見る。

  岡田氏は、長期政権の弊害について「チェックが働かないと思ってなんでもやってしまう」と指摘。安倍首相の後援者が多数参加し、批判を受けたことで来年度の中止が決まった「桜を見る会」は「その典型だ」とした。安倍政権長期化の背景には「世界経済が比較的順調だった」ことがあり、その状況が変われば首相を取り巻く状況も「様変わりする可能性はある」という。

  第2次安倍政権発足時、内閣府特命担当相として入閣した山本一太群馬県知事は、「戦略的で野党が言うべき政策の軸を奪い取った」と話す。時間外労働の上限規制などを導入した働き方改革や幼児教育無償化は、野党支持層が関心の高い政策で、「過去の政権よりもウイングをさらに広げ、したたかにいろいろな政策を取り入れている」ことが、長期政権を維持してきた理由の一つだと説明した。

  外務副大臣などの経験もある山本氏は、トランプ政権が続く限り、安倍首相のように同氏と交渉できる人でなければ「日本の首相はできない」と指摘する。自民党内から総裁連続4選を期待する声が出ている背景には「選挙に勝ち続け、政権維持するために首相にいてほしいという政治的思惑」があると語った。

(第2段落に安倍首相のコメントを追加して更新しました)

©2019 Bloomberg L.P.


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