(ブルームバーグ): トランプ米政権は市場に影響を与える経済統計の発表方法を変更して、メディアが事前に記事を準備するのを制限する計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。実施されれば雇用統計などの数値へのアクセスで混乱が生じる可能性がある。

  米労働省では現在、記者が指定された部屋で30−60分前に統計を受け取り、インターネットに接続していないコンピューターで記事を執筆し、統計の解禁時間にネットとの接続が回復され、記事を送信している。この仕組みは「ロックアップ」と呼ばれている。

  これら関係者が匿名で明らかにしたところでは、同省は記者室からのコンピューター撤去などの変更を検討しており、今週中にも発表される可能性がある。

  変更の根拠は不明だが、政府は過去にロックアップ手順の変更を図った際、セキュリティーリスクと、ニュースメディアの不当な優位性を理由としていた。ロックアップは容認されているが、政府規則によって定められているわけではない。

  米国のメディアは約40年前からロックアップの仕組みを利用してきた。ロックアップのおかげで記者は市場を動かすデータの数値を配信前に分析し、間違いがないよう確認する時間を持てる。英国やカナダの中銀や統計機関も同じようなロックアップ手順を採用している。

  ブルームバーグ・ニュースやロイター通信などのメディアはこれまで、ロックアップ手順の変更が提案された際、異議を唱えてきた。手順が変更されれば、いの一番にデータを入手して利益を上げようとするトレーダーの間で高速化競争が激化し、金融市場の公正さに疑念が生じかねない。

  米労働省のマイケル・トルーポ報道官に複数回コメントを求めたが返答はなかった。国内総生産(GDP)や小売売上高などのデータ公表を労働省の部屋でロックアップ手順に沿って行っている商務省は、この件については労働省に問い合わせるよう求めた。

  データ公表と同時にメディアが記事を配信できなくなれば、データの入手先が限られるため、政府はウェブサイトが負荷増大に対応できるよう備える必要があり、セキュリティーの拡充やトラフィック容量拡大も求められる可能性がある。    アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は、「企業の規模や保有資源に差があるのは明らかであり、新たな環境でこれにさらなる資源を投入するという選択を行う企業もあるだろう。従って、競争条件の格差は現在より広がると思う」と指摘した。    労働省はオバマ政権下にあった2012年、記者に政府所有のコンピューターを使って記事を書くように義務付ける修正を図った。ブルームバーグなどメディアの反対や議会公聴会を経て、同省は結局、記者が引き続き自分の機器を使用することを認めた。現在、記者は携帯電話など電子機器をロックアップ室の外にあるロッカーに預けるよう義務付けられている。

(4段落以降に背景などを追加して更新します.)

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