(ブルームバーグ): インドネシアのライオンエアはボーイング製737MAXの運航開始前に、操縦士にシミュレーター訓練を受けさせることを検討したが、ボーイングから2017年に不要だと説得されて断念していた。事情に詳しい複数の関係者と内部通信記録で分かった。

  翌18年にライアンエア運航の737MAXはジャワ海に墜落し、搭乗していた189人が死亡した。この惨事は不十分な訓練や、誤作動を起こした新しいフライトコントロール機能に乗員が精通していなかったことが原因とされた。

  メディアに公表されたボーイングの社内メッセージ記録によると、主要顧客の1社が操縦士に737MAXの運航前に費用の掛かるシミュレーター訓練を義務付ける可能性を巡り、同社従業員は警戒感を示していた。

  これらのメッセージは同社が米議会や米連邦航空局(FAA)に提供した100ページ余りの内部通信記録に含まれており、ライオンエアの名前を編集した形で9日に広く公表された。しかし下院運輸経済基盤委員会は、ライオンエアの名前を編集していないメッセージの抜粋をブルームバーグ・ニュースに提供した。

  MAXは737の古い機種で訓練を受けた乗員に簡単なコンピューター訓練だけで運航を認める点が重要なセールスポイントだっただけに、シミュレーター訓練を実施すればこうした利点を損なう恐れがあった。

  MAXは、ライオンエア機と同様の失速防止システム(MCAS)の誤作動後にエチオピア航空機が墜落したのを受け、昨年3月に世界的に運航停止とされた。ただ、シミュレーター訓練を実施していたとしても、ライオンエア機やエチオピア航空機の惨事で乗員が遭遇したシステム誤作動に対処していなかったものでは、墜落事故を回避できなかった可能性もある。

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