(ブルームバーグ): 厚生労働省は16日、中国の湖北省武漢市に滞在歴のある肺炎患者から新型コロナウイルス陽性の結果が出たと発表した。国内で同ウイルスに関連した肺炎の患者の発生が確認されたのは初めて。東京株式市場では、抗ウイルス関連株が上昇した。

  厚労省がウェブサイトで発表した資料によると、患者は神奈川県在住の30代男性で15日に退院している。3日から発熱があり、6日に武漢市から帰国し医療機関を受診、10日から入院していた。武漢市での滞在歴の申告があったため、国立感染症研究所で検体を検査したところ15日夜に陽性の結果が出た。

  東京株式市場では、抗ウイルス繊維を手掛けるダイワボウホールディングスが一時6.2%高、シキボウが9%高、抗ウイルス薬を手掛ける大幸薬品が7.3%高、防塵(ぼうじん)・防毒マスク製造の重松製作所が18%高などとなった。

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  同省結核感染症課の日下英司課長は16日の会見で、この患者は武漢市で詳細不明の肺炎患者と一緒に生活するなど濃厚な接触があった可能性があると説明。現在は自宅療養中で咳(せき)が軽くあり、国内の家族や医療機関の接触者については神奈川県保健所を通じて調査しているという。この患者を中心に患者が増えることは想定できないとの見方を示した。

  患者の国籍やどこの空港を使って入国したかについては、プライバシー関連を理由に公表しなかった。共同通信などは国籍を中国人としている。

  この患者以外には、国内で感染が疑われる人はおらず、日本で患者と暮らす家族や受診した医療機関の勤務者らの健康状態の経過観察を続けている。今後、春節を迎え訪日中国人の増加が見込まれるが、渡航禁止の措置は考えていないという。

  菅義偉官房長官は会見で、同日午前に関係省庁連絡会議を開催したことを明らかにした。また、「現時点で持続的な人から人への感染は確認されていない」とした上で、「厚労省を中心に国際的な情報収集や検疫の着実な実施、関連性が疑われる患者が確認された場合の検査などについて引き続き万全の態勢で行っていく」方針を表明した。

  厚労省の資料によれば、新型コロナウイルス関連肺炎は、現時点では家族間などの限定的なヒトからヒトへの感染の可能性が否定できない事例が報告されているが、持続的な感染の明らかな証拠はないため、手洗いなど、通常の感染対策を行うことが重要。

  同省は、武漢市から帰国・入国する人で咳や発熱などの症状がある場合、マスクを着用するなどし、速やかに医療機関を受診して滞在歴を申告するよう呼び掛けている。現時点では検疫体制を変えることは考えておらず、世界保健機関(WHO)などと協力しリスク評価を進めるとしている。

  

(厚労省会見の内容や政府の対応などを追加して更新しました.)

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