(ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)は20日発表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2020年に世界成長率は上向くと予測した。ただ、通商関連の脅威や中東での緊張が続く中で、昨年10月の前回見通しから成長率予想をやや引き下げた。

  WEOによると、20年の世界成長率は3.3%と前年の2.9%から改善する。成長加速は3年ぶり。昨年10月時点の予想と比べると、両年とも下方修正された。19年の成長見通し引き下げは6回連続。

  IMFは、世界見通しのリスクバランスは引き続き下向きの方向にあるものの、昨年10月時点よりは悪い結果への「傾きは小さくなった」と分析。製造活動と世界貿易に底入れの兆候が見られるほか、米中貿易交渉で「断続的」に好材料が出ていることや金融緩和策など前向きな兆しもあると指摘、21年の成長率は3.4%へと加速すると見込んだ。

  中央銀行の政策による景気押し上げ効果の数値化も試みた。IMFによると、中銀の金融緩和策がなければ19年、20年とも成長率は0.5ポイント低かった。

  モノとサービスの世界貿易量の伸び率予想は20年に2.9%と、前回見通しの3.2%から引き下げた。それでも19年の1%を大きく上回る伸びとなる。

  先行きのリスクは後退したものの、懸念材料は依然多いとIMFは表明。貿易交渉の進展が断続的でしかないことや米国とイランの緊張が原油供給を混乱させる恐れ、社会不安や気候変動に関連した災害などを挙げた。

  「世界のマクロ経済統計にまだ転機はほとんど見られない」とし、「景気減速に歯止めがかかりつつある暫定的な兆しはあるが、平均を下回る世界成長率が長期化するリスクは依然として明白だ」と指摘した。

  IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は、米中が今月15日に第1段階合意に署名したことにより、貿易戦争の19、20年世界国内総生産(GDP)へのマイナスの影響は0.5ポイントに縮小したと説明。IMFのゲオルギエワ専務理事は17日、ワシントンで、貿易戦争の従来の押し下げ効果は0.8ポイントすなわち7000億ドル(約77兆1000億円)相当であり、そのうち3分の1が関税によるもので、3分の2が企業の投資手控えによるものだと述べていた。

  同専務理事はまた、「貿易戦争の休戦は和平とは同じでない」とし、米中の第1段階合意が履行されれば「マイナスの影響は縮小するが、全くなくなるわけではない」と語った。

国・地域別見通し

  国・地域別では米国の20年成長率予想を0.1ポイント引き下げ2%に、21年は1.7%に据え置いた。ユーロ圏の20年成長率見通しは従来の1.4%から1.3%に下方修正した。

  中国の20年成長率予想は6%と0.2ポイント引き上げ。米国との「第1段階」貿易合意が景気循環の短期的な弱さを緩和する公算が大きいとしつつ、米中経済関係の未解決の問題が「経済活動を引き続き圧迫するだろう」と指摘した。

  インドについては、ノンバンク金融セクターのストレスや、与信の伸び鈍化により内需が予想以上に急ペースで減速したことから、20年成長率見通しを1ポイント余り引き下げた。

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