(ブルームバーグ): 日産自動車は13日、今期(2020年3月期)の業績見通しを下方修正した。米国など主要市場での販売不振がこれまで以上に深刻化したことが要因。カルロス・ゴーン元会長の逮捕以降、日産は元会長の拡大路線からの脱却を目指してきたが、1年以上たった今も業績回復のめどが立たない状況だ。 

   

  「想定を超えている」。日産の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は横浜市での決算会見で足元の業績悪化のペースについてこう表現し、今期2度目となる業績見通しの引き下げは販売台数が想定を下回ったのが一番の要因と述べた。

  主力市場の北米では10−12月期の販売台数が前年同期比17%減の40万4000台にとどまった。米国などで販売奨励金の削減を目指してきたが、そのために販売台数減につながるジレンマに陥っている。消費増税の影響を受けた日本市場でも20%減と大幅に落ちこみ、欧州(8.1%)やアジア(3.6%)などすべての地域で減少、通期の世界販売台数見通しを505万台と従来の524万台から一段と下方修正した。

  10−12月期の純損益は10年1−3月期以来の赤字に転落するなど業績不振が一段と顕著になっており、期末の配当を無配とし年間配当は1株あたり10円と前期比47円の減配になるとの見通しも示した。この発表を受けて約43%を保有する筆頭株主の仏ルノー株は前日比3.8%安となった。

  ゴーン元会長体制の下では多額の販売奨励金を積むなどして規模の拡大を進める一方、開発費用を抑えるために新車の開発ペースは落としてきた。日産はこの問題を解決するための取り組みを進めてきたが現時点では実を結んでいない。

  内田氏は販売奨励金の抑制など日産のブランド価値を高める取り組みは一部で効果が出始めているが、北米の収益回復には想定以上の時間がかかるとの見通しを明らかにした。一方、アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は次の2年間で北米市場に8車種の新車を投入することで平均車齢を5.2年から3−3.5年に短縮できるとし、反転攻勢する考えも示した。

  

  日産では昨年12月、報酬不正問題を受けて内田氏をトップとする新経営体制が発足したが、1カ月もたたずに副最高執行責任者(COO)に指名されたナンバー3の関潤氏が日産を去って日本電産に移籍することが判明した。年末には保釈中だったゴーン元会長がレバノンに逃亡して日産幹部の批判を展開。新型コロナウイルスの感染拡大で中国の工場の操業が止まるなど経営環境の混乱も続いている。

  今回の業績修正には同ウイルスの感染拡大による影響は織り込まれておらず、今後の状況次第ではさらなる引き下げを迫られる可能性もある。

  

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、中国の新型肺炎も英国のEU離脱も「日本の自動車メーカーで一番影響度が大きいのが日産」で、「踏んだり蹴ったり」の状況という。業績改善には特効薬はなく、米国では販売奨励金の削減と台数確保の両立を目指すなど地道な取り組みを続けるしかないと述べた。

  

    

(決算の詳細を追加し、記事の構成を変えて更新します)

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