(ブルームバーグ): 横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の乗船者のうち新たに検査結果が判明した53人のうち39人に新型コロナウイルスの感染が確認されたと厚生労働省が12日、発表した。ほかに検疫官1人の感染も分かった。11日までに同船から病院に搬送されていた感染者のうち4人は重症という。

  同船では乗員・乗客延べ492人の検査結果がこれまでに判明しており、感染者数は計174人となった。うち日本人は81人で50代から80代が大半で、20代女性が1人、90代男性が1人いる。チャーター機で帰国し感染が確認された12人を含め、国内感染者数は合わせて203人。

  新たに判明した感染者は、10代から80代の男女で、乗員10人、乗客29人。同船内で10代の感染者(外国人)が確認されたのは初めて。国籍は日本10人、米国7人、豪州4人、カナダ・英国各2人など。中国中央テレビ局(CCTV)によれば、中国の武漢市では生後間もない新生児2人の感染も確認されている。

  厚労省によると、これまでにクルーズ船から病院に搬送された人のうち4人が重症。2人は呼吸管理、2人は集中治療室(ICU)での治療が必要な状況となっている。3人は日本人男性で60代1人、70代2人。残り1人は70代の外国人男性で、いずれも一定の基礎疾患があり、重症になった直接の原因が新型コロナウイルスによるものかは現時点では不明という。

  同船には9日時点で3600人超が乗船しており、5日から14日間は船内待機している。安倍晋三首相は12日の政府対策本部の会合で、ウイルスを高精度で検出するPCR検査に関し、最大潜伏期間が終了する18日までに1日1000件を超えて実施する能力を確保できる予定だと述べた。加藤勝信厚生労働相は下船時の全員検査を可能なら実施する方針を示していたが、10日の記者会見では「できると断言できる状況ではない」と述べていた。

  一方、感染が判明した検疫官は男性で3日から4日夜まで乗船。乗客の質問票回収や体温測定に当たっており、何人に対応したか調査している。マスクと手袋を装着し、作業ごとに手指の消毒も行っていた。防護服は着用していなかった。下船後も検疫所で7日まで勤務していたが9日に発熱し、10日に受診した。同省は、検疫業務に支障を及ぼしている状況ではないとしている。

  政府のチャーター便で湖北省から帰国した邦人については、11日から順次検体を採取している。厚労省は12日、第1便で帰国後、宿泊施設に待機していた197人については全員の陰性が確認されたと発表した。同日以降、順次帰宅する。第2便の帰国者の結果は早ければ13日にも判明する。

外国人入国拒否、中国浙江省も追加

  政府は新型コロナウイルスの水際対策強化で、14日以内に中国浙江省への滞在歴がある外国人や同省発行の中国旅券を所持する渡航者は特段の事情がない限り、入国を拒否する方針だ。安倍首相が12日、政府対策本部の会合で明らかにした。13日から適用する。ブルームバーグの集計では、浙江省で確認された感染者は1117人。

  安倍首相は12日の対策本部会合で、今後の対応について「国民の命と健康を守るとともにその安心を確保するため、正確かつ分かりやすい情報発信に努め、先手先手で対策を総動員し対応に万全を期してください」と全閣僚に指示した。入国拒否措置については感染者数などを総合的に判断して浙江省を対象地域に追加する方針を示した。

  また、外務省は同日、中国在留邦人や海外渡航者に対し、「今後、その他の中国各地においても状況が急激に悪化する可能性も念頭に、情報収集等に万全を期す」とともに、日本への早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急検討するよう求める注意喚起を行った。

  政府は1日から、湖北省を対象に入国拒否措置を実施している。法務省によると、9日までに103人が審査の対象となり、36人の上陸を拒否し、12人は上陸申請を取り下げた。残り55人は特段の事情があるとして許可した。菅義偉官房長官は12日午前の記者会見で、対象地域のさらなる拡大については感染者数のみならず、移動制限の有無、医療体制の状況など総合的に勘案して判断すると述べた。

  また、安倍首相は対策本部で、国内の検査体制に関し、これまで湖北省に渡航歴があるなどの要件に該当する人に限定して対象としてきたが、今後は地方自治体の判断で一定の症状がある人に対し検査が可能であることを明確にしたとも語った。

(第7段落にチャーター機の第1便帰国者の検査結果を追加し、更新しました)

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