(ブルームバーグ): 中国南部の都市、福建省福州市。トム・ホンさんの近所の住人1人が新型コロナウイルスに感染したと診断された後、地元当局はホンさんの住む集合住宅のゲートを封鎖し、すべての住民の外出を禁止した。

  ホンさん(52)は5日間にわたり自宅に缶詰め状態で、読書や家事で時間を過ごしており「伝染病が自分にますます近づいているように感じる。日常生活はとても不便になった」と語った。経営する種苗店は自分も従業員も職場に行けないため痛手を受ける公算が大きいという。

  中国では一部工場やオフィスが正式に事業を再開したものの、ホンさんのように地元当局の規制で仕事や日常生活が制限されるケースは全国的に広がりつつある。当局はホンさんの集合住宅に対する規制を11日にようやく緩和し、各世帯1人に2日に1回、食料品調達のための外出を認めた。

  新型コロナウイルス感染の中心となっている湖北省武漢を除くと、感染拡大防止のための国家的に統一された政策はないことから、各地の当局は独自の措置を講じている。次の感染中心地になる事態を避けるため極めて厳しい制限を課す都市もある。

  河南省駐馬店市では、新型ウイルス対策に伴い駅城地区の住民は各世帯1人、5日に1回しか、食料買い出しが認められていない。ショッピングモールやスーパーマーケットも一時的な閉鎖を命じられており、食料調達も容易ではない。駐馬店市は4日連続で10件以上の新規感染症例が報告されたのを受け、こうした措置を講じた。

  中国本土では新型肺炎流行で延長された春節(旧正月)連休が終わり10日から企業活動が再開されつつあるが、従業員の職場復帰の許可を地元当局から得る上で、さまざまな要件に縛られている企業が多い。

  一般的な要件は、従業員に十分なマスクや手指消毒剤、保護用具を提供し、不在だった人を2週間隔離することなどだが、マスクが非常に品薄で湖北省で治療の最前線に立つ医師や看護師から苦情が出るほどであり、要件を満たすことは不可能な状況にある。

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