(ブルームバーグ): 17日発表の2019年10−12月期の実質国内総生産(GDP)は5四半期ぶりにマイナスに転じる見通し。昨年10月の消費税率引き上げを控えた駆け込み需要の反動や大型台風で個人消費が落ち込んだほか、世界的な景気減速が設備投資の下押し要因になったとみられる。足元では新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が懸念されており、20年1−3月期もマイナス成長が続く可能性があるとの見方も浮上している。

  ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト20人余りを対象に実施した調査によると、10−12月期は全員がマイナス成長を予想。予想中央値は前期比で1.0%減、年率換算で3.8%減が見込まれている。予想通りならマイナス幅は前回消費税率が引き上げられた14年4月から6月までの四半期(前期比1.9%減、年率7.4%減)以来の大きさとなる。

  内訳では、個人消費は前期比2.0%減と5四半期ぶりのマイナス、設備投資は1.6%減と3四半期ぶりにマイナスに転じ、内需としては5四半期ぶりにマイナス寄与となる見通し。一方の外需は、米中貿易戦争の長期化などが影響し輸出が低迷したものの、消費増税後の需要減退から輸入が大幅に落ち込み、差し引きでプラスに寄与したもよう。

  野村証券の美和卓チーフエコノミストは、消費増税や台風など「10−12月期の落ち込みは一時的な要因が大きい」と指摘。設備投資については、主に製造業で見られる傾向として「これまで輸出中心の景気減速の影響が少し遅れて現れてくる」とし、非製造業は「増税が絡んでくるとすると一時的に需要が落ちることで若干調整される」との見方を示した。

              

  日本銀行の前田栄治理事は14日午前の衆院財務金融委員会で、世界経済の減速や消費増税、自然災害の影響で、昨年10−12月期は「大幅なマイナス成長になった可能性がある」と指摘。先行きは堅調な設備投資や積極財政で緩やかな拡大基調を続けるとみながらも、「新型コロナウイルスによる感染症拡大がインバウンド消費や生産活動に与える影響も含め、さまざまな下振れリスクに十分な注意が必要」と語った。自民党の本田太郎氏の質問に答弁した。

2期連続マイナス成長の懸念浮上

  1−3月期は増税前の駆け込み需要の反動減が和らぐことなどから、プラス成長への復帰が見込まれている。ブルームバーグが6日までに集計したエコノミスト13人の予想中央値は前期比年率で0.8%増だ。ただ、中国を中心に感染が拡大している新型コロナウイルスが日本経済の下振れリスクとして浮上してきた。 

  美和氏は、感染拡大を通じた経済への悪影響が「想定以上に深刻になってきている」とし、2四半期連続でマイナス成長の可能性も高まっていると指摘。訪日外国人客の消費減少にとどまらず、中国での生産活動停滞に伴う中国向け輸出の減少や「マインド面を通じた個人消費、輸出生産の停滞を受けて設備投資計画が先送りになる形で波及してくる可能性もある」という。

  訪日外国人客全体の約3割を占める中国人客の減少すれば、観光業を中心に日本経済にとって大きな打撃となる。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、重症急性呼吸器症候群(SARS)発生時と同じ割合で訪日外国人客数が減少した場合、GDPを0.14ポイント押し下げ、大きな影響が出た03年5月と同程度の影響が1年間続いた場合には0.45ポイント押し下げる可能性があると試算する。

緊急対策

  政府は13日夕、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急対策を決定した。中国からの帰国者の支援や感染症・水際対策の強化に総額約153億円を充てるほか、観光産業などの資金繰り支援に5000億円の緊急貸し出し・保証枠を確保するなど経済面への影響にも配慮する。

  浜田宏一内閣官房参与はブルームバーグとのインタビューで、新型肺炎の感染拡大などで日本経済に深刻な影響が生じた場合、追加的な財政措置で対応すべきだと指摘。急激に円高が進む場合には、日本銀行による量的緩和の拡大がその阻止に有効との見解も示した。

  麻生太郎財務相は14日の衆院財務金融委員会で、政府の20年度実質GDP成長率見通しの1.4%は高過ぎるのではないかとの海江田万里氏(立憲民主)の質問に対し、新型肺炎の影響からサプライチェーンなどに影響が出ているとしながらも、状況が長期化せず今後回復するとの見通しを踏まえれば、「今の段階でこれは達成できるというように考えている」と語った。

   

(5段落目に前田日銀理事、最終段落に麻生財務相の発言を追加して更新しました)

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