(ブルームバーグ): 中国の新型コロナウイルス感染拡大についてモデル解析を進める米ハーバード大学公衆衛生大学院のマーク・リプシッチ教授(疫学)は「死者数は遅行指数だ」と言う。

  いったん感染すれば「誰かが亡くなるまで平均3週間前後」だと指摘する。

  中国湖北省の衛生健康委員会は13日、新型コロナウイルス感染症例が12日に1万4840件増加したと発表。前日から45%増えたことになり、同省での感染例は計5万件に近づいた。これまでの方法である核酸の検査キットとともに、画像スキャンで確認された症例を加えた。ここ数日は新たな感染者の伸びが鈍化していたが、こうした傾向が反転する格好となった。

  中国本土全体では新型ウイルスの感染症例数が12日に1万5152件増え累計5万9804件に達した。国家衛生健康委員会が13日の記者説明会で明らかにした。死者数は12日に254人増加。ブルームバーグの集計では、中国本土の累計死者数は現時点で1367人となる。

  新型肺炎流行に伴う混乱に加え、感染が始まった湖北省に国際的な専門家が入ることが制限されており、正確な患者・死者数の集計を難しくしている。ブルームバーグを含む報道機関によれば、医療体制が感染拡大に追い付かず一部の重症患者が病院から受け入れを拒否されている。これも、最終的な死者数の把握を極めて困難にする。

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  米ミネソタ大学感染症研究政策センターのマイケル・オスターホルム所長は「自宅で死亡した人々が圧倒的多数かもしれない。新型肺炎で中国で何人死んだかは決して分からないだろう」と話す。

  医療専門家は死亡率の推計に取り組んでいる。死者数を確認症例数で割った大まかな分析では、死亡率は約2%だ。診断未確定の軽い症例を含めれば1%近くに低下する。世界保健機関(WHO)のチーフサイエンティスト、スーミャ・スワミナサン氏は「検査を受けた患者の数が増えるにつれ、死亡率は日ごとに低下している」とインタビューで述べた。

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  ただリプシッチ教授は「われわれが目にしているのは氷山の一角にすぎない。氷山は極めて大きい」と主張。オーストラリアのクイーンズランド大学でウイルスを研究しているイアン・マッカイ氏は死亡率について、「現時点では本当に確定できない数値」との認識だ。

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  米国立衛生研究所(NIH)のアンソニー・ファウチ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長は新型コロナウイルスについて、2002−03年に流行し8000人余りに感染し800人近くが死亡した重症急性呼吸器症候群(SARS)と比較されがちだが、季節性インフルエンザと比べる方が適切との見方を示す。

  季節性インフルエンザの死亡率は0.1%程度で、1957年と1968年のパンデミック(世界的流行)では死亡率が1%に近づいた。1918年の「スペインかぜ」大流行時の死亡率は2%と、中国の病院で今見られる死亡率に近く、「インフルエンザとは全く異なるが、本当にひどいインフルエンザシーズンのようになるだろう」と同所長は説明している。

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