(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中国経済の早期回復について、エコノミストらは悲観的な見方を強めつつある。経済の混乱が当初想定より深く、かつ長引きそうな証拠が増えているためだ。

  移動制限がある中で工場は操業再開しづらく、消費者は家にこもり、世界のサプライチェーンもほころびを見せる中、シティグループや野村ホールディングスなどのアナリストは当初よりも深刻な懸念を示している。

  S&Pグローバル・レーティングは、今年の中国成長率が5%にとどまる可能性を指摘。これは1990年代初頭以来、最も弱い水準となる。キャピタル・エコノミクスは、43四半期続いた世界経済の成長に終止符が打たれるとの見方を示している。

  こうした懸念は、中国経済が2020年の最初の数カ月に急減速した後はV字回復するとの当初の予想に疑問を投げ掛けるものだ。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が先に米経済成長のリスク要因として新型ウイルスに言及するなど、世界の当局者は経済への長期的な影響を警戒している。

  オーストラリア準備銀行(中央銀行)の経済分析責任者、アレクサンドラ・ヒース氏は12日、「単に四半期だけのショックであり、その後はすべて正常に戻るとは言えないと思う」と述べた。

  野村のエコノミストは今週に入り、ウイルス感染の最悪の時期が過ぎたとしてもビジネスが正常に戻るには時間がかかる可能性があると指摘。その結果、経営破綻する企業が増え、大規模人員削減や需要の悪化につながる恐れがあるとの見方を示した。

  ブルームバーグ・エコノミクスによると、中国の貿易相手国として特にリスクがあるのはシンガポールとオーストラリア、韓国。また、すでに景気に弱さが見られるドイツと日本は新型ウイルスの副次的影響でリセッション(景気後退)入りする恐れがある。

  米カリフォルニア大学サンディエゴ校のビクター・シー(史宗瀚)准教授は「経済的には、このプロセスは向こう数カ月間は破壊的なものになる」 と語った。

  シティグループのエコノミストは11日、1月29日時点の評価が今では楽観的すぎるようだとし、中国の国内総生産(GDP)成長率予想を再び下方修正。第1四半期は3.6%と、従来見通しの4.8%から引き下げ、通年予想も5.5%から5.3%に変更した。

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