(ブルームバーグ): ソフトバンクグループの中核事業であるビジョン・ファンドを巡り、孫正義社長が戦略転換を迫られている。昨年7月に国内金融機関らと結んだ基本合意書(MOU)では、2号ファンドの規模は12兆円に達する見通しだったが、計画は白紙となった。

  孫社長は12日の決算会見で、既にソフトバンクGの資金で数千億円規模の投資を開始していると説明。その上で、「出資を予定していた多くの投資家には大変ご心配かけた」と陳謝し、つなぎとして1年か2年分の資金を小規模で投資し、実績を上げる「ブリッジファンド」としての運営を検討していることを明らかにした。

  孫社長は「少し規模を小さくして期間も短くし、皆さんの安心感を得て、その上でもう一度正式にファンド2をより大きなものとしてやっていきたい」と述べた。

  ジェフリーズ証券アナリストのアツール・ゴヤール氏はリポートで、ビジョン・ファンド2はソフトバンクGの株主にとってさらなる価値の毀損を招く可能性があり、「大きなリスク」と分析。孫氏が規模縮小を示唆したことは歓迎するとした半面、「今後の動向を注意深く見守る必要がある」と指摘した。

  大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは、「新規投資にややブレーキがかかり、慎重姿勢に転じることになるので、クレジット評価上はポジティブ」との見方を示した。

  ソフトバンクGは7月、2号ファンドに380億ドルを出資。米アップルやマイクロソフトのほか、日本からはみずほ銀行や三井住友銀行、三菱UFJ銀行、第一生命保険、SMBC日興証券、大和証券グループ本社などからも出資を受ける計画を示していた。また、出資予定額は12兆円よりも増加する見込みだった。

  12日に発表した2019年10−12月期(第3四半期)決算は、ビジョン・ファンドからの営業損失が2251億円と2四半期連続の赤字となり、全体の営業利益は前年同期比99%減の25億8800万円だった。投資家は決算内容の評価に迷い、13日の株価は一時前日比1.5%高と上昇する場面があったものの、その後は5.3%安まで下落した。

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