(ブルームバーグ): 米国はリセッション(景気後退)に突入しつつある。究極の不安は、リセッションが長引く景気低迷と化し、大恐慌の雰囲気を帯び始める可能性だ。

  この可能性は基本シナリオから程遠い。新型コロナウイルス感染の当初の震源地だった中国で見られる回復の兆しに多くのアナリストや投資家は元気づけられており、今年後半には米国での感染が収束しているとの希望的観測で景気好転を予測する向きもある。

  しかし、事業活動が停止しレイオフが急増する中、グレン・ハバード元大統領経済諮問委員会(CEA)委員長やケビン・ハセット前委員長といった著名経済ウォッチャーは、大恐慌再発を予想するには至らずとも、大恐慌と比較している。

  元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのモーリー・オブストフェルド氏は、 世界の経済生産が同時に中断する事態は何十年も見られていないと指摘し、考え付く最も端的な例は「大恐慌かもしれない」と述べた。

  米経済が休業や外出禁止などの措置を受け、大幅な縮小に見舞われることは疑いない。4−6月(第2四半期)国内総生産(GDP)は1947年以来の低水準になるとの予測もある。JPモルガン・チェースは同GDPを年率14%減、バンク・オブ・アメリカ(BofA)とオックスフォード・エコノミクスはいずれも12%減と予想。ゴールドマン・サックス・グループは24%の落ち込みを見込む。

  セントルイス連銀のブラード総裁は22日のブルームバーグとのインタビューで、新型コロナ対応の休業などの影響で4−6月期に失業率は30%に急激に悪化する恐れがあり、GDPは50%減と、未曽有の落ち込みが見込まれると述べた。

  これは非常に大きな打撃だが、1四半期の年率ベースでの数字にすぎない。1929ー33年の大恐慌では、経済全体が約25%収縮し失業率は25%に接近した。リセッションは経済活動が広範囲で大幅に落ち込む局面を指し、その持続期間はさまざま。一方、大恐慌は1900年以降に1回しか発生しておらず、景気悪化が長期化し恐らく数年続く。

  経済の縮小が長期化するかどうかは、感染抑制にかかる時間に大きく左右されそうだ。全米経済研究所(NBER)で景気循環の日付認定に当たる委員会のメンバー、ハーバード大学のジェームズ・ストック教授は「このウイルスが今後数カ月に奇跡的に消滅しない限り、今回の封鎖状態はかなり長期にわたる恐れがあり、何四半期にもわたるというのは理にかなうシナリオだ」と述べた。

  ハセット氏は19日にCNNに対し、誰もが6カ月も自宅にとどまれば「大恐慌のようになるだろう」と語った。

  景気悪化の深刻さと持続期間は経済対策に左右される。約100年前に大恐慌に陥ったのは、政策ミス、特に金融当局による政策ミスが要因だった。現在コロンビア・ビジネス・スクールの教授を務めるハバード氏は「適切な政策を講じないことを恐れている」と述べた。

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