(ブルームバーグ): トヨタ自動車とNTTは24日、相互に自己株式約2000億円を割り当て、資本業務提携に合意したと発表した。長期的かつ継続的な協業関係を構築し、「スマートシティプラットフォーム」を共同で開発する。

  両社の発表資料によると、トヨタはNTTの発行済み株式総数の約2.07%、NTTはトヨタ株の約0.9%を保有することになる。株式取得日は4月9日の予定。両社の連結業績に与える影響は軽微という。

  両社は街単位で住民や企業、自治体などに関係する生活やビジネス、公共サービスなどで包括的にサービスを提供する「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築する。先行ケースとして、まずは静岡県裾野市の東富士エリアと東京都港区の品川エリアで取り組みを始めるとしている。

  同日都内で記者会見したトヨタの豊田章男社長はトヨタが伝統的な意味の自動車メーカーからモビリティー企業への脱皮を図る中、ソフトウエアなどの技術力を持つNTTの力をあわせて世界の顧客に貢献したいとの考えを示した。また、「私たちはさらなる仲間を求めていくことになる」と述べ、他の企業とも協力を進めていく考えを示した。

  トヨタは、2017年3月に車とインターネットがつながる「コネクティッドカー」向けの通信技術基盤の研究開発での協業でNTTと合意。今年1月には、静岡県裾野市にあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」を建設すると発表し、広くパートナー企業を募っていた。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、両社の事業規模、開発費規模や財務基盤からすると2000億円は相対的に小さいと指摘し、「資金が必要というよりは、共同開発への信頼の契りという意味を重く感じる」と述べた。

  その上で、自動車とIT・通信分野とそれぞれ強みがある両社が連携してコネクティッドやITを活用した次世代移動サービスの領域で競争力向上を目指すのは、「理にかなった話」と述べた。

  スマートシティについては、グーグルの親会社であるアルファベットの子会社がカナダのトロントで計画を進めるなど、海外IT大手も進出している。NTTの沢田純社長は会見で、「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)対抗という意識は私はある」と述べ、スマートシティ開発で海外の巨大IT企業と競争していく姿勢を示した。

企業価値向上にプラス

  自動運転などの次世代技術の開発に向け巨額な投資が必要となる中、トヨタはスズキやスバル、マツダとの相互出資などを通じた関係強化を相次いで発表している。一方、株式の持ち合いを巡っては、コーポレートガバナンス(企業統治)や資本効率の観点から海外の投資家などから厳しい目が向けられている。

  東海東京調査センターの杉浦誠司アナリストは、株式の持ち合いには「冷たい反応が海外投資家を中心に主流だが、それに対するトヨタ経営陣の挑戦状の提示が続く」と指摘。その上で「持ち合いでなければ達成できない成果を見せていく必要」が強まるとの見通しを示した。

  トヨタの豊田社長は株式の持ち合いについて、「長期的かつ継続的な協業関係を構築していく上には、一方的な出資ではなくパートナーと対等出資することでお互いに学び合い、競争力を高め合う関係になるというところに意味がある」と述べ、「双方の企業価値向上にとっても確実にプラスになる」とした。

(会見での発言を追加して記事を更新します)

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