(ブルームバーグ): 東京五輪・パラリンピックの開催延期は関連事業者の経営環境を悪化させるだけでなく、雇用や個人消費をさらに下押しする可能性があるとエコノミストはみている。1年延期してもなお、2021年の開催実現を危ぶむ声もある。

  ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストやみずほ総合研究所の宮嶋貴之主任エコノミストらは、五輪延期による日本経済へのインパクトが1兆〜2兆円規模、国内総生産(GDP)対比で0.2〜0.4%の下振れになると推計する。

  矢嶋氏は、特にセンチメント悪化による雇用への影響を懸念。「苦しくてもタクシーやバスの運転手はオリンピックがあるから何とか踏ん張らないとと持ちこたえてきた」が、延期なら会社は「倒れるかもしれないし、解雇に動きやすくなるかもしれない」と語った。

  安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は24日夜、東京五輪の1年程度の延期で合意。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストはリポートで、「21年夏の段階では、新型ウイルスに対するワクチンの開発・普及が間に合っていない可能性があるため、引き続き不確実性は残る」とし、21年の開催可能性は60%にとどまるとみている。

  開催延期決定前に実施した一部エコノミストへの調査では、五輪が中止あるいは延期となった場合、日本経済は20年7〜9月期まで4四半期連続のマイナス成長と、世界的な金融危機以来の長期低迷に陥る公算が大きいとみていた。相次ぐ台風被害や消費増税など日本経済に逆風が吹く中で、五輪延期が追い打ちをかける格好だ。

東京五輪中止・延期なら日本経済は4四半期連続低迷も−エコノミスト

  三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は25日のリポートで、五輪延期そのもののマイナス効果は6000億円程度と試算。「一定の社会的な混乱、財政への負担増加、企業業績の悪化は避けられないものの、経済効果の観点から比較的軽微にとどまる」とみる。個人消費抑制や輸出減少、イベント効果はく落などで19年度、20年度と2年連続のマイナス成長を予想する。

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