(ブルームバーグ): 安全資産として金の需要が高まる中で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により現物取引のルートが絶たれ、金市場では異常な需給ひっ迫が起きている。これを受けて、米国の主要取引所は措置をとらざるを得なくなった。

  銀行やトレーダーは通常、スイスや香港、シンガポールの保管所や精製施設と、ロンドンやニューヨークなど取引拠点の間の金輸送に民間機を利用する。だが新型コロナの影響で航空便の運航が止まり、精製施設は閉鎖され、国際的な取引が難しくなりつつある。

  BMOキャピタル・マーケッツの金属デリバティブ取引責任者、タイ・ウォン氏は「過去数十年でこんなことはなかった。戦争でも金融危機でも自然災害でも、精製が止まるなどと言うことはなかった」と述べた。

  ニューヨークの場合、ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引される金先物の受け渡しに十分な現物があるのかどうかが問題だ。

  より大規模なロンドンのスポット市場は400オンスの地金が大半を占めているが、COMEXで受け渡し可能としているのは100オンスとキロ単位の地金だけだ。

  これが24日の市場で、ロンドンのスポット価格に対するCOMEXの金先物のプレミアムを40年ぶりの水準に押し上げた。COMEXを傘下に持つシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は同日遅く、400オンスの地金でも受け渡し可能とする新たな先物の取引開始を急ぐと表明、需給ひっ迫への対処を打ち出したが、25日朝も依然としてプレミアムは1オンス=約40ドルと高水準にある。

  24日時点で金先物4月限の建玉は15万2603枚で、1530万オンスに相当する。だがCOMEXが保管する受け渡し可能な在庫はその半分をやや上回る程度でしかない。

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