(ブルームバーグ): 安倍晋三首相は27日午前の参院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、東京を含む首都圏で「仮にロックダウン(都市封鎖)のような事態を招けば、わが国経済にさらに甚大な影響を及ぼす」との認識を明らかにした。

  石橋通宏氏(立憲民主)への答弁。安倍首相は国内では都市部を中心に新規の感染者数が増加していると指摘した上で、「東京を含む首都圏で急速な感染拡大を回避することは極めて重要と認識している」と述べた。夜間や今週末の外出自粛要請に踏み切った東京都の小池百合子知事と同じ危機感を持って対応していく方針も示した。

  安倍首相は夜の「新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング」後に記者団に、感染が経済に大きな影響を及ぼしているとして「まずは感染拡大の防止を徹底するとともに雇用の維持と事業の継続を最優先に全力を尽くす」と述べた。その上で、日本経済を再び確かな成長とV字回復させるためとして「前例に捉われることなく甚大な影響のマグニチュードに見合うだけの経済財政政策を実行していきたい」とも語った。

  都内では26日新たに過去最多となる47人の感染者が確認され、うち20人超の感染源が分かっていない。小池知事は同日夜の安倍首相との面会後、「今の局面を何としても打開し、都民が安心に暮らせる生活を早く取り戻したい」と記者団に語った。27日の会見では暫定数として新たに40人の感染が分かったことを明らかにした。

 

  小池知事は、近隣県の知事に都内への移動自粛を呼び掛けており、26日には神奈川、千葉、埼玉、山梨の各県知事とテレビ会議を実施。感染者の爆発的な増加やロックダウンを回避するため連携し、断固たる決意を持って対策を進めるとした共同メッセージをとりまとめ、都民や県民に、人混みへの不要不急の外出自粛や時差出勤、在宅勤務の実施などを求めた。

緊急事態宣言

  新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合、政府は緊急事態宣言を発令することが可能となっている。27日午後には専門家による諮問委員会を開催、政府が対策を進めるにあたっての全般的な方針や重要事項などについて定めた基本的対処方針について議論した。特措法を担当する西村康稔経済再生担当相は会議後、できるだけ速やかに決定したいと記者団に語った。

  西村氏は27日の参院予算委で、現在の国内状況については「現時点において緊急事態宣言を行うような状況にはない」との認識を示した。

  二つの発令要件のうち、「国民の生命および健康に著しく重大な被害を与える恐れがある」には既に該当するとの見方を示した。ただ、「全国的かつ急速なまん延により国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼし、またはその恐れがある」については「専門家の意見をいただいている限りにおいては、まだその状況にはない」とした。

  小池知事は27日の会見で、現状は緊急事態宣言に値するかどうか問われ、「まさにぎりぎりのところではないか」と指摘した。政府は28日夜、安倍首相を本部長とする政府対策本部を開催し、今後の対応について協議する予定だ。

(第3段落に安倍首相の発言を追加して更新します)

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