(ブルームバーグ): 政府は、新型コロナウイルスの感染拡大で製造業のサプライチェーン(供給網)が寸断したことを受け、生産拠点が集中する中国などから日本への国内回帰や第三国への移転を支援する。緊急経済対策の一環として総額2435億円を2020年度補正予算案に盛り込んだ。

  今回の緊急経済対策では、⽇本企業が特定の国に過度に依存しない強靱(きょうじん)なサプライチェーンを構築するため、特定国に依存する製品や部素材の生産拠点を国内に整備する場合、建物や設備導⼊費用の一部を補助する。第三国への生産拠点の多元化も後押しする。

  日本にとって中国は主要な貿易相手国だが、新型コロナ感染拡大の影響で中国からの輸入は2月に前年同月比でほぼ半減した。中間財の輸出入における対中依存度が主要先進国の中で最も高い日本は、電子部品やパソコン部品、自動車部品の輸入が多い。特に感染拡大の発端となった中国武漢市は自動車産業の集積地で、操業停止により中国からの部品輸入が途絶えた自動車メーカーは生産停止に追い込まれた。

  新型コロナ感染症が世界的な広がりを見せる中、安倍晋三首相は3月5日の未来投資会議で、サプライチェーンを巡る懸念を踏まえ、一国依存度が高い製品で、高付加価値品は国内への生産拠点の回帰、高付加価値品以外は東南アジア諸国への多元化を図る方針を示した。

  日本総合研究所の関辰一主任研究員は、「中国に生産拠点を持っている日本企業のうち、輸出志向型企業は人件費上昇もあって国内回帰を検討しているところもある。今回の政府予算はそういったところの後押し策になることは間違いない」と指摘し、例として電気機械や情報通信機械のメーカーを挙げた。自動車については中国の国内マーケットをターゲットとしているため、「部品メーカーが帰ってくることは一部あると思うが、自動車業界全体から見ると非常に小さな動き」とみる。

  もっとも、「中国政府としては産業の高度化を進めるためにも日本企業にもっと来てもらいたいという意向は非常に強い」ことから、日本政府の補助金に対して、「中国政府もAI(人工知能)や5Gなどハイテク分野において日本企業に補助金を出し、中国にとどまるようインセンティブを付けることも想定される」とも語った。

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