(ブルームバーグ): ジョンソン英首相の上級顧問として強い影響力を持つドミニク・カミングス氏が、新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するため独立した科学アドバイザーらにロックダウンを勧告するよう圧力をかけたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

  英政府は緊急科学諮問会議(SAGE)の数回の会合にカミングス氏がオブザーバーとして参加したことを認めている。SAGEのメンバーは非公表で、新型コロナ感染拡大への対応について閣僚に専門的な助言を提供している。

  関係者2人によると、SAGEが新型コロナ対応で社会的距離の選択肢を議論した3月18日の会合で、カミングス氏は単なるオブザーバー以上の役割を演じた。同氏はロックダウンがなぜ早く導入されないのか尋ね、議論の方向を早期の措置実施へと持って行き、2日以内にパブやレストランが閉鎖されるべきだとの自身の考えを明示した。同氏の考えは、結局その通り実施された。関係者は会合が非公開であることを理由に、匿名を条件に語った。

  首相府はSAGEメンバーの専門家に政治顧問が影響を及ぼすことはないとした上で、顧問が会合に出席して質問をするのは適切だと主張した。だが、会合に出席した2人の関係者は、カミングス氏の行動は単なる質問を超えていたと指摘した。

  政府は新型コロナの危機を通じて科学的な助言に純粋に従っていると強調しているが、ロックダウン決定にカミングス氏の関与が示唆されたことは、政府の主張に疑いを呼ぶ公算が大きい。新型コロナによる死者数の増加に歯止めがかからない中で、ジョンソン首相がいっそう難しい立場に追い込まれる可能性もある。

©2020 Bloomberg L.P.