(ブルームバーグ): 安倍晋三首相は30日の参院予算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて全国に発令している緊急事態宣言を延長するかどうかについて、行政上の準備もあり、専門家の分析も踏まえた上で、期限を迎える5月6日より前に判断する考えを示した。

  現状認識については「医療従事者の皆さまには大きな負担がかかっており、依然厳しい状況が続いている」と指摘した。判断のタイミングについては専門家はぎりぎりまで状況を見たいとの考えだが、政府としては「地方自治体や行政上の課題、準備等もあり、7日ぎりぎりということではなく、ある程度その前に決めたい」と語った。

  NHKは30日、政府の専門家会議が非公式会合で全国を対象に引き続き宣言を延長すべきだとの認識で一致したことが分かり、政府は対象を全国としたまま1カ月程度延長する方向で調整を進めていると報じた。

  安倍首相は都市部では国民の協力で鉄道の乗客や夜の繁華街の人出が減少していると指摘する一方、医療現場には多くの人が入院しており、防護具不足などで過酷な状況が続いていると述べた。

  西村康稔経済再生担当相は緊急事態宣言の対象を全国に拡大してから30日で2週間となることから、専門家会議を近く開いて現状を評価してもらうと語った。延長の要否の判断に当たっては、新規感染者数と医療体制の2点を目安に協議していることも明らかにした。

  一方、東京都の小池百合子知事は記者団に対し、専門家会議が5月1日に開かれると聞いているとした上で、「政府としての判断をされるということなので、都としてはその流れをよく見ていきたい」と語った。

  厚生労働省によると、国内の感染者数は29日までの集計でチャーター便帰国者や空港検疫も含めて1万4000人、死亡者数は400人を超えている。

学校再開、9月入学

  緊急事態宣言の期間を延長する場合、学校教育への影響も長期化する。萩生田光一文部科学相は参院予算委で、子どもたちを感染リスクから守りながら、分散登校などで段階的に必要最小限度の教育活動を再開することも重要と指摘。できれば5月1日までに「文科省としての考えを示したい」と語った。

  都道府県、市町村ごとに感染状況が異なることから、学校再開は同じ県内であっても「時期が変わってくるのはやむを得ない」と述べた。

  一部の知事や有識者、野党などから出ている9月入学についても質疑があった。安倍首相は海外の制度を挙げながら、学校再開に向けての状況を見極めつつ、「まずは文科省を中心に前広にさまざまな選択肢を9月入学を含めて検討していく必要がある」と語った。ただ、文科省の判断だけでは解決できない課題でもあるとの認識も示した。

  萩生田文科相は「社会全体に大きな影響を与える」とした上で、「皆さんが価値観や課題を共有してもらえるなら、一つの大きな選択肢になり得る」と話した。

経済への懸念

  緊急事態宣言が延長されれば、休業を余儀なくされている事業者を中心に経済への影響も懸念される。参院予算委では野党側からはさらなる支援を求める声も出た。大阪府の吉村洋文知事も30日、仮に延長するなら「経済を疲弊させないための厚い補償」が必要だと記者団に語った。

  安倍首相は事態が長期化、深刻化した場合の対応として「必要と判断すれば躊躇(ちゅうちょ)なく、必要な措置を断行していきたい」との方針を示した。

  

  

(安倍首相、小池都知事らの発言を追加し、更新しました)

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