(ブルームバーグ): 全国の物価の先行指標となる4月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比0.1%低下と、伸び率は2017年4月以来のマイナスとなった。市場予想は0.1%上昇だった。原油安を背景としたエネルギー価格の下落に加え、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限で外国パック旅行費や宿泊料が一段と下落したことなどが影響。4月から始まった高等教育の無償化も物価の押し下げに寄与した。総務省が1日発表した。

エコノミストの見方

野村証券の棚橋研悟エコノミスト:

4月の高等教育無償化で押し下げられているが、それを除いても弱い。エネルギーと宿泊料と外国パック旅行費が押し下げている新型コロナで相当程度、宿泊の需要が減っているので値下げが起きている。4月以降、それ以外の業種にも広がる可能性は十分ある4月の全国CPIも相当程度同様の押し下げ効果が出てくる。マイナスになる可能性も十分ある日銀としてできるのは企業の資金繰り支援。人員整理の動きが目立ってくると物価に厳しい情勢が続いてしまうため、今後も対策を打っていく必要はある

大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト:

もともと東京の数字が出る前から全国のコアCPIは4月にマイナスとみていたので、全国もマイナスに陥る確度がより高まったと思う東京でも4月にマイナスになってくるとは思ってなかった。エネルギーの下落と、宿泊料と外国パック旅行の下落が大きい日銀は物価目標のために何かをするという時ではない。とにかく企業金融支援をしっかりするということだと思う。当面は企業金融、実体経済の弱さが信用不安につながることを回避するための施策を必死にやるだろう

詳細(総務省の説明)

コアCPIの低下に最も寄与したのは大学授業料で、これは4月から始まった高等教育無償化などによるもの。都区部ではウエートが大きいが、全国ベースでは影響薄れる可能性原油価格急落を受けたガソリン価格の下落も下押し。主要産油国に減産の動きもみられたが、新型コロナの世界的な感染拡大による需要減の観測の影響が上回っている可能性宿泊料は新型コロナの影響で稼働率が落ち、大幅に下落した。外国パック旅行も下落に寄与しているが、これは昨年のゴールデンウイークが10連休で大きく上昇した反動の面が強い生鮮野菜の上昇については、新型コロナの影響で外出を自粛して家で食事をする人が増えており、野菜の需要が上がっているとの報道もあるマスクは品薄を背景に引き続き上昇。4月は前年比13.0%上昇と、3月の同11.3%上昇から伸び率拡大

背景

新型コロナの世界的な感染拡大による経済活動停滞で原油需要が蒸発する中、NY原油先物は4月に一時マイナスに転じた日本銀行の黒田東彦総裁は4月27日の金融政策決定会合後の会見で、2%の物価安定目標に向けたモメンタム(勢い)は「いったん損なわれた状態」との認識を示した同日公表の展望リポートで政策委員が新たに示した2022年度のコアCPI見通しのレンジ上限は1%にとどまったブルームバーグの試算では、全国のコアCPIの前年比上昇率は4月にも再びマイナスに転じる可能性がある新型コロナで緊急事態宣言、7都府県に5月6日まで−安倍首相

(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新しました)

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