(ブルームバーグ): 社債の流通市場で平均利回りがほぼ1カ月半ぶりの水準まで低下してきた。日本銀行が27日の金融政策決定会合で社債買い入れの大幅拡充を決めたことを受け、買い入れ対象となる残存5年以下の銘柄を中心に需給が引き締まりつつある。

  代表的な債券指標の野村BPIによると、社債の平均利率は28日に0.36%と3月中旬以来の水準に下がった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリスク回避を背景に4月中旬は0.4%を超えておよそ4年半ぶりの高水準になったが、上昇に歯止めがかかった格好だ。

  朝日ライフアセットマネジメントの大芦尚広シニアファンドマネジャーは、ここ最近「流通市場で証券会社からの売り物が急速に減った」と明かす。日銀の買い入れ枠拡大で証券会社の在庫の売りが減り、需給ひっ迫と利率低下を促していると同氏は指摘する。

  日銀が買い入れ対象とする社債の残存年限を5年まで延長し、とりわけ中期ゾーンの社債利回りに低下圧力がかかっている。日本証券業協会が発表する社債の取引情報によると、2024年12月に償還するJR西日本債が28日、利率0.15%で取引された。これは格付けが一段階上のJR東日本が4月に発行した3年債の利率と同じ水準。三菱UFJリースが18年5月に起債した残存5年の社債も、償還までの期間が4カ月ほど短い今年1月の同社債の発行利率を下回った。

  通常、格付けが高かったり、年限が短かったりするほど利率は低くなる。オペ拡充により残存5年以下の事業債の4割を日銀が保有することになるとの試算もある中、明確な買い手の存在を意識する動きが利率に反映されてきた。

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