(ブルームバーグ): フォード・モーターは北米工場再開に向けた安全対策の準備に数週間かけてきたが、全米自動車労組(UAW)の懸念を払拭(ふっしょく)することはできなかった。こうした労使の見解相違は、他の自動車メーカーの生産再開計画にも影響する可能性がある。

  フォードは4月30日、北米工場再開時には従業員にフェイスマスク着用や体温測定を求め、工場内のカフェテリアを閉鎖するなどと説明した。再開の具体的な日程は示さなかった。これに対し、UAWのロイ・ギャンブル委員長は、同社とは工場再開の手順について引き続き協議中だと述べた。

  同委員長は発表文で「UAWはウイルス感染を防ぐため可能な限り多くの検査を求めている」と説明。検査の供給体制や正確性は「不安定」だと認めながらも、組合としてはできるだけ多くの検査を実施したいとした。

  UAWの姿勢は、3月中旬から閉鎖されている工場の再稼働を巡る緊張が続いていることを物語る。トヨタ自動車と独フォルクスワーゲン(VW)は29日、米国工場の再開を延期した。衛生面の懸念やサプライチェーンの課題、需要低迷などが理由だ。

  UAWはフォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の3社の労働者が中心だが、組合員の一部は他の自動車メーカーに供給する部品工場でも働いている。

  フォードの最高人事責任者キアステン・ロビンソン氏はウェブ会見で「信頼性と拡張性がある検査の解決策は数週間、もしくは数カ月先になるだろう」と指摘。「より長期的にはそれが重要になると考えている。残念ながら、その解決策はわれわれにはない」と語った。

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