(ブルームバーグ): 国内証券最大手の野村ホールディングスが8日発表した2020年1−3月期の連結純損益は345億円の赤字(前年同期は8億円の黒字)だった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に市場の混乱と経済への悪影響が深刻化し、保有資産の評価損を迫られたことなどが要因。

  四半期ベースでの純損益の赤字は18年10−12月期以来、5四半期ぶり。出資先の米資産運用会社アメリカン・センチュリー・インベストメンツの減損損失164億円を計上したことで、アセット・マネジメント部門の損益が赤字に転落した。3月の市場急変でトレーディング資産などの評価損約350億円を計上したことも響いた。

  北村巧財務統括責任者(CFO)は電話会見で「マーケット急変の影響は1000億円ぐらいの業績インパクトがあった」と説明。赤字幅を抑えられたのは構造改革の努力の成果とも述べた。

  新型コロナ感染拡大により、野村証券では支店の窓口業務を休止するなどの影響が出ている。北村CFOは、経済活動が制限される中で顧客の在宅率が高く、電話やメールで連絡が取りやすくなっている面もあるとし、リテールの4月の収益は1−3月期の2割減にとどまっていると説明。ホールセールも4月は好発進を切ったと語った。

  同社は22年3月期までの3年間で1400億円規模のコスト削減を目指す構造改革に取り組んでおり、3月末時点での進捗(ちょく)は7割程度まで進んだという。また、「コロナ以前の環境には戻らないと思う」として、試行錯誤を今後の戦略に生かすと語った。

  海外拠点の税引き前損益は、米州が244億円の赤字(前年同期は37億円の赤字)、欧州が195億円の赤字(同255億円の赤字)、アジア・オセアニアが33億円の赤字(同87億円の黒字)。合計では472億円の赤字(同205億円の赤字)となった。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの田村晋一アナリストは、野村HDの1−3月期について「さえない決算だった」と総括。金利低下局面で債券トレーディングの環境がよかった割に利益を上げられていないことなどを挙げ、新型コロナの影響を除いても期待外れだった部分があると指摘した。

  そのうえで、実施中の構造改革について、コロナ後の環境変化をにらんで修正する必要があると指摘。例えば、対面営業の休止で一時的に上がったオンラインや電話での取引比率が以前の水準に戻らないことを想定し、人員の再配置やコールセンターの増強などを検討する必要があるとした。

  20年3月期通期の純損益は2170億円の黒字(前の期は1004億円の赤字)だった。野村総合研究所の株式売却益733億円の計上も寄与した。

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