(ブルームバーグ): 国内通信大手のソフトバンクは11日、今期(2021年3月期)の営業利益は前期比0.9%増の9200億円を計画すると発表した。スマートフォンやブロードバンド契約数の増加に加え、法人事業の成長などを見込む。

  新型コロナウイルス感染拡大の影響については、外出自粛に伴う通信データ量の増大や法人顧客からのテレワーク需要、ヤフー事業での電子商取引(eコマース)取扱高の増加を想定。一方、スマホなどの新規契約の遅延やヤフーの広告出稿減少、宿泊・予約事業の利用減少などが収益の下押し要因になるとみている。同社では5月末まで全国店舗の営業時間を短縮している。

  宮内謙社長はオンライン会見で、今期の業績見通しについて通信は必要不可欠なインフラであり、「もっと強気の数字を出していい」と話した半面、「コロナウイルスというのは全く予想がつかない。第2波が来るかもしれない」と述べ、甘く見積もることはできないとの認識を示した。

  今期配当は年間で1株当たり86円と前期85円から小幅な増配を予想した。連結配当性向は85%程度を目安としている。

  東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは、新型コロナの影響などを織り込んだ上で「横ばい圏を守りたいというのはポジティブ」と評価。テレワークによるデータ量の増加などプラス面もあり、「上振れる余地はある」とみている。

  1−3月期の営業利益は1166億円と前年同期に比べ31%増えた。通期(20年3月期)では11%増の9117億円。コンシューマや法人、流通、ヤフーの全事業が増益となり、スマホの解約率は0.7%と過去最低だった。

  同社は、主力の移動通信分野で高速大容量の第5世代通信規格(5G)のサービスを3月に開始した。収益の多角化を進めるため、非通信分野ではヤフー事業を展開するZホールディングスがファッション通販のZOZOを買収し、コミュニケーションアプリのLINEと経営統合する。

  また、シェアオフィスの米ウィーワークやホテル運営のインドのOYO(オヨ)と日本で合弁事業を展開している。双方とも新型コロナの影響を受けているものの、3月末時点のウィーワークのメンバー数は2万2000超と1年間で8割増加。オヨのホテル稼働率も51%と、国内の業界平均32%を上回ったという。

  親会社のソフトバンクグループは18日に決算を発表する予定だ。投資先の米ウィーワーク関連の損失を新たに計上し、前期純損益は過去最大の9000億円の赤字になる見通し。世界的な株安が進んだ3月には、安定的な移動通信事業を抱える子会社ソフトバンクの時価総額が親会社を上回る場面もあった。

(決算内容の詳細や宮内社長のコメントを追記します)

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