(ブルームバーグ): 「アフターコロナ」ではなく「ウイズコロナが当面続く」。伊藤忠商事の鈴木善久社長は8日の決算発表会見でこう話した。新型コロナウイルスの感染拡大がもたらしたさまざまな変化に歩調を合わせるため、大手商社も対応に取り組んでいる。

  鈴木氏は、公衆衛生を意識して可能な限り他人との接触を減らすことが必要になることから、今後は仕事のしかたや医療、小売りや飲食事業の在り方などが変わると述べ、そのかぎを握るのがデジタル化だと指摘した。

  伊藤忠は近年、生活消費関連の事業に積極的に投資してきた。鈴木氏は「オンライン化が一番重要」だとし、繊維カンパニーが展開するアパレル関連など生活消費事業のオンライン化を進めていることを明らかにした。完成までには「あと数カ月かかる」としている。

  伊藤忠は同日、今期(21年3月期)の純利益が前期比20%減の4000億円になるとの見通しを発表。経営の新たな局面に入ったとの認識のもとで「稼ぐ・削る・防ぐ」の徹底を目指す今期1年間の経営計画を策定した。鈴木氏は多額の設備投資を行うよりも「既存のビジネスをいかに変化に対応させていくか、守りながら変化する時代」になると指摘した。

  三菱商事の垣内威彦社長も同日に決算発表会見で、デジタル化を重要視しているとの認識を示した。緊急事態宣言の解除後も「もはや、全員が会社に戻って相対でやるということには戻らない」とし、既存事業のデジタル化を積極的に推進する方針だと述べた。

地政学的リスク

  伊藤忠が軸足を置く中国ではすでに企業活動が再開しており、それに伴ってホテルや飲食店も回復を始めているという。同社の鈴木社長は、20年は中国経済の回復が世界のけん引役になる可能性を秘めていると述べた。

  三菱商事の垣内氏は、感染の広がり方が世界各地で異なるために地政学的リスクを見極めにくくなり、自社も含めグローバル化に取り組んだ企業は戦略の見直しという新たな課題に直面すると指摘した。今後の事業運営には「相当神経を払わないといけない」との見方を示した。

(三菱商事社長コメントを追加して記事を再構成しました)

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