(ブルームバーグ): 米国では4月、労働市場が急激に悪化。非農業部門雇用者数は前月から2050万人減少し、失業率は前月の3倍余りとなる14.7%に上昇した。

  4月の雇用者数減少は、過去10年間の景気拡大で増加した分をほぼ帳消しにし、多くの米国民にとって雇用がいかに不安定なものかが浮き彫りとなった。4月は低賃金の労働者や女性、マイノリティーで特に大きく雇用が減少した。

  ムーディーズ・アナリティクスで金融政策の調査を率いるライアン・スイート氏は、統計を「壊滅的だ」と表現。「これらの数字ひとつひとつに人間1人の重みがある。この状況から回復するには何年もかかるだろう。多くが一時的なレイオフであり、経済活動の再開とともに速やかに仕事に戻れることを期待しているが、その保証はどこにもない」と述べた。

平均時給、不完全雇用率

  平均時給は前月比4.7%増、前年比では7.9%増と、共に大きく増えた。賃金上昇圧力が時給を押し上げたのではなく、低賃金労働者の失業が特に大幅に増えたという特殊要因が背景にある。

  低賃金の分野に数えられる娯楽・ホスピタリティーでは、雇用者は765万人減少。これは同分野の雇用者全体のほぼ半分に相当する。この分野にはレストランやホテルが含まれる。

  「U6」と呼ばれる不完全雇用率は22.8%に上昇した。前月は8.7%。U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいと考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる。

一時帰休

  労働省は4月の失業率について、「他の理由」で仕事を休んでいるが雇用は続いていると記録された一時帰休の労働者が、一時解雇による失業者に分類されていた場合、調整前ベースの失業率は発表された数値より約5ポイント高かったはずだと説明した。一時帰休の労働者は、失業者5人当たり約4人を占めた。

  労働参加率は60.2%に低下(前月62.7%)し、1973年以来の低水準。25歳から54歳の男性では、86.4%と過去最低に落ち込んだ。

  4月はほぼ全ての業種が大きく打撃を受けた。製造業は133万人減、小売りは210万人減った。医療の分野も144万人減少。新型コロナ感染症(COVID19)以外の患者や待機的手術の大幅減少、また診療所の閉鎖が影響した。

  新型コロナの感染拡大は世界各国の経済に大きな打撃を与えているが、米国における失業の問題は大半の先進国より深刻だ。米国では約1億6000万人が雇用主を通じて医療保険に加入しており、失業すれば自分で高額な保険料を毎月支払うか、そうでなければ保険そのものを失うことになりかねない。そうした状況は、新型コロナによる経済的影響を悪化させる可能性がある。

  今回は特に女性と人種的マイノリティーが大きく影響を受けた。女性の失業率は15.5%(前月4%)に跳ね上がり、男性を9ポイント上回った。人種別では、黒人・アフリカ系米国人で16.7%、ヒスパニック・ラテン系が18.9%。一方で白人は14.2%だった。

  統計の詳細は表をご覧ください

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