(ブルームバーグ): パンデミック(世界的な大流行)収束を脅かすのは子供なのだろうか。米国立衛生研究所(NIH)をはじめ、各国の研究所や政府機関が新型コロナウイルスの病原性と感染の謎を解き明かそうと、子供に関する調査に力を入れている。新型コロナに感染した子供については、原因不明の症状も英米や大陸欧州で指摘されている。

  子供は感染しても多くが無症状だが、大人よりも日々の生活の中で他者との接触が多い。イタリアが活動を再開する指針に用いたモデルは、子供に関連したリスクを強調し、学校を先行的に再開した場合は基本再生産数(R0)が1.3前後に急上昇すると警告している。R0は1人の感染者が何人に感染させるかを示す指数で、現在は1を下回っている。

  このモデルの作成に携わったブルーノ・ケスラー財団の研究者、ステファノ・マーラー氏は「学校再開という解決策には、重大な懸念がある」と指摘。4月30日の記者説明で、「極めて短期間に非常に重大な問題を引き起こすだろう」と警告した。

  新型コロナ感染症(COVID19)で死亡した高齢者の数に比べれば、子供の感染者は極めて少数だが、ミラノやローマ近郊などでは病院に子供専用のスペースを設ける必要が生じるほど、その数は増えている。ニューヨークも状況は似ており、市当局によれば、これまでに6人の子供が死亡している。

  世界中で経済活動と学校を再開する機運が高まる中で、子供を媒体とした感染がパンデミックを悪化させるリスクが、研究で指摘されている。子供の感染力は大人と変わらない可能性があるとして、制限を設けずに学校を再開させることに警鐘を鳴らすドイツの研究結果もその一例だ。

  米国のNIHはウイルスの感染経路や発症率を調べるために2000世帯の子供を追跡調査すると、4日に発表した。米国のほか、英国やスペイン、イタリアでも「多臓器に炎症を起こす」症例が子供の間で増えており、新型コロナとの関連性が疑われると当局や医師が指摘している。ニューヨーク州だけでも、64の潜在的な症例が認められている。

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