(ブルームバーグ): 政府が改正外為法の施行と併せて8日に公表した事前届出の対象銘柄リストについて、投資家からは選定理由がわかりづらく、長期的に海外アクティビスト(物言う投資家)の資金が流出するなどのリスクがあるとの声が上がっている。

  ゴールドマン・サックス証券のキャシー・松井氏らはリポートで、海外投資家が改正やその根拠について十分理解していない場合、資金流出するリスクがあると指摘した。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストも、新型コロナウイルスが収束して株価水準が通常に戻った際には、「リストのコア銘柄はアクティビストが投資対象から避けることでバリュエーションがディスカウントされる可能性がある」と述べた。

  「コア業種」にタマホームや出前館など意外な銘柄が入ったことで、市場には戸惑う声もある。「コア業種」は情報流出や事業喪失により国の安全を損なう恐れの高い企業とされる518銘柄が選ばれた。松本氏は「中小型銘柄が予想以上に多く、指定された理由が開示されていないため、詳細な理由が分かりづらい銘柄が全体の半数ほどある」と話す。

  さらにもう一つわかりりにくくしているのが「同業種でも指定された銘柄とそうでない銘柄が存在している」(松本氏)ことだ。トヨタ自動車や本田技研工業が入って日産自動車は除外、三井住友フィナンシャルグループやみずほフィナンシャルグループが入って三菱UFJフィナンシャル・グループは除外された。

  ただし、リスト公表による株価へのインパクトは当面限定的との見方が大勢だ。ゴールドマンの松井氏は、「アクティビストは、改正を投資プロセスへの追加的な負荷と捉える可能性はあるが、日本企業への投資活動を停止するとは思わない」と指摘する。松本氏も、「外為法は大きなテーマでない上、足元の株価水準が低いためすぐに株価に影響はしない」とみる。

  また、「コア業種」と「指定業種」の約2100銘柄について、大和総研金融調査部の金本悠希主任研究員は「株価が大幅に下落するとの懸念はない」と話した。

備考:外資規制の事前届出対象リスト公表、コア業種518銘柄-改正外為法

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