(ブルームバーグ): 新型コロナウイルスの感染拡大によって一時帰休などを余儀なくされている多くの米労働者は、次の給料がどこから支払われるかについて気をもんでいる。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長にとって最大の試練は、彼らの窮状を金融政策でどう和らげるかだ。

  FRBは来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、より強力なフォワードガイダンスなどの手段を議論する可能性がある。

  しかし、こうした手段の採用には、経済がどこに向かっているかの十分な予測を金融当局が持っている必要がある。先行きの不透明さが、6月により強力なフォワードガイダンスが示されるとの期待を下げる理由になるかもしれない。米国経済が徐々に再開される中、当局者が経済予測を立てるのは難しくなりそうだからだ。

  既に複数のFRB当局者は、予測の難しさを口にしている。

  クラリダ副議長はCNBCのインタビューで「巨大な不確実性」について警告し、「この時期のかじ取りをするに当たり、われわれは適切に謙虚でなければならない」と述べた。

  また、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はブルームバーグテレビジョンに対し、新型コロナの経過に左右されるため経済予測が「非常に難しくなった」と語った。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は複数のシナリオを提示し、感染の第2波が発生した場合は「休業措置の再導入で2021年のGDPは痛みを伴う収縮が続くだろう」と話した。

  ただパウエル議長は、新型コロナによる経済的打撃を食い止めるため、FRBとしてあらゆる手段を取ると語っている。4月29日のFOMC声明発表後の会見では「今は誰もが苦しんでいるが、この状況に最も耐えられないのは職を失う人々だ」とし、「脅かされている人々を目の当たりにするのは心が痛む」と述べていた。

  8日発表された4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月から2050万人減少し、失業率は前月の3倍余りとなる14.7%に上昇。労働市場の急激な悪化があらためて浮き彫りとなった。

  FRB当局者は来月、最新の四半期経済予測を公表する予定。3月は見通しの急速な変化を理由に公表を見送っていた。

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