(ブルームバーグ): 日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は29日の株主総会で、復配に向けては、自動車事業のフリーキャッシュフローの黒字化とネットキャッシュが一定水準まで回復することが「最低限のハードル」との考えを示した。

  内田社長は横浜本社で開催された株主総会で、新型コロナウイルスの影響などにより経営環境が厳しい中、将来に向けた投資や財務基盤の強化などを優先しているとし、前期(2020年3月期)の期末配当を見送ったことについて株主の理解を求めた。その上で、遅くとも今期(21年3月期)下期にはフリーキャッシュフローの黒字化を達成するとの目標を改めて示した。

  新型車投入の遅れなどで近年低迷が続いていた日産の販売は、新型コロナの影響で世界的に需要が減少したことでさらに悪化。販売台数に比べて過剰となった生産設備の減損処理などの費用計上により、前期には、経営危機に陥っていた同社にカルロス・ゴーン元会長が大ナタを振るった00年3月期以来の巨額赤字を計上した。

関連記事:日産:前期純損失6712億円、ゴーン改革以来の大赤字−リストラで (2)

  内田社長は、日産がこれまで一度掲げた業績予想を下方修正することが多かったと指摘。先月に発表した中期経営計画については「確実にそれを実行できる、それを皆さまに示せる形にしている」と話した。また、業績が改善に向かわなかった場合に解任することを求めた2月の臨時株主総会での発言について、「その考え方には全く揺るぎはない」と述べ、改めて立て直しに向けた覚悟を示した。

  日産は中期経営計画で、今後18カ月間で12の新型車を投入し販売回復を目指す方針を示した。新型コロナの影響で同社の4月の世界販売は2カ月連続で前年同月比40%を超える大幅減となった。一方、中国での5月の販売台数は同6.7%増となり、一足先に再開した経済活動が需要回復を下支えする兆しも見えている。

  同社の監査委員長を務める永井素夫社外取締役はレバノンに逃亡したゴーン被告について、「当人の引き渡しなどの手続きはいろいろ進んでると側聞している」としたものの、事実かどうかは「必ずしも知らない」と述べた。また、ゴーン被告らの不正について「陰謀論とメディアで言われているのを承知しているが、そういった事実は全くないと理解している」と語った。

関連記事:日産の社内メール、ゴーン元会長降ろしの実態を浮き彫りに (2)

  日産の株主総会の招集通知によると、新型コロナの感染防止のため、同社は会場を約400席に制限。広報担当の百瀬梓氏によると、出席株主数は295人で、所要時間は1時間51分だった。昨年6月の総会には2814人の株主が出席し、時間は3時間22分だった。

©2020 Bloomberg L.P.