(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、経済の活況を促し成長を長続きさせる政策が米国の低所得層の仕事確保と賃上げにいかに貢献したかをよく指摘していた。

  しかし、こうした恩恵は新型コロナウイルス感染拡大で吹き飛んだ。その後、議長のゼロ金利政策を通じた救済策でも、労働市場で最も脆弱(ぜいじゃく)な人々を助けるには不十分で、格差拡大を招く恐れもある。

  FRBのエコノミストらによる新たな研究論文では、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に伴う失業がいかに貧困層に偏っているかが示された。貧困層のレイオフは所得が比較的高い層の4倍のペースだったという。労働省のデータによると、女性やマイノリティーは特に大きな打撃を受けた。

  アライアンス・バーンスタインのシニア・バイスプレジデント、バレリー・グラント氏は「パンデミックは労働市場がいかに脆弱かを浮き彫りにした」と指摘。 労働市場の不平等是正へのFRBの注力は「称賛に値する」ものの、「それが真の変化を促すかどうかは分からない。金融政策だけでできることには限界がある」と述べた。

  パウエル議長自身も、不平等の拡大に伴い緊急性が高まっていると指摘している。  雇用は危機前の状況を回復する上で長い困難に直面しているが、資本市場はFRB主導の大規模な緊急支援策のおかげで急回復している。

  FRBのエコノミストらが今月共同執筆した先の論文によれば、米国で賃金が下位2割の人々の雇用は5月末までの時点で、2月の水準を依然約30%下回っていた。一方、その時点までに米株式相場は損失の大部分を回復し、年初来高値を約10%下回る水準に戻った。株式の所有は富裕層や白人に傾斜している。

©2020 Bloomberg L.P.