(ブルームバーグ): タイは新型コロナウイルス向けワクチンについて外国製品の供給を待つのではなく自国生産を目指しており、10月にもヒトへの試験を開始する可能性がある。1件のプロジェクトを主導する科学者が明らかにした。

  チュラロンコン大学のワクチン研究開発拠点で主任研究員を務めるキアット・ラックルンタム氏は26日のインタビューで「新型インフルエンザ(H1N1)のパンデミック(世界的大流行)でわれわれは非常に苦い教訓を得た。当時、政府はワクチン購入契約を結んでいたが、流行が終息するまで入手できなかった」と説明。「何か違うことをするよう世界全体がパンデミックから教えられている」と述べた。

  キアット氏の研究によると、サルへの最初のワクチン投与後に実施した血液検査で全てのサルに抗体が生成されたことが示された。過半数のサルには中和抗体も発現した。これはウイルスが細胞に入り込んだり損傷を与えるのが阻止される可能性を意味する。2回目の投与は先週実施され、ヒトへの試験に必要な基準を達成すると同氏は見込んでいる。臨床試験の段階に入れば、先進国以外では初めてとなる。

  同氏によれば、タイでは新型コロナ向けでさまざまな手法を用いた7種類のワクチンが研究されている。チュラロンコン大学のプロジェクトは米モデルナを中心とするプロジェクトと同様のメッセンジャーRNA(mRNA)のワクチン技術を採用している。

  動物実験段階の最終結果は向こう2週間以内に判明すると見込んでいる。3段階全ての臨床試験がうまくいけば、ワクチンはタイで生産され、近隣諸国や他の低中所得国に提供するため供給を拡大する可能性があるとキアット氏は説明した。

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