(ブルームバーグ): 新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いた5月の経済統計では、雇用関連、生産がともに市場予想を上回る悪化となった。外出自粛や休業要請で経済活動が滞る中、完全失業率は2017年5月以来の水準に上昇。鉱工業生産指数は4カ月連続のマイナスとなり、現行基準で比較可能な13年1月以降の最低を更新した。

雇用

  総務省が発表した完全失業率は前月比0.3ポイント上昇の2.9%。3カ月連続で前月を上回り、水準としては17年5月(3.1%)以来の高さとなった。就業者数は前年同月比76万人減、雇用者数は同73万人減と、いずれも2カ月連続のマイナス。休業者は423万人で、前月の597万人から減少した。

  厚生労働省が発表した有効求人倍率は前月比0.12ポイント低下の1.20倍と5カ月連続で低下し、15年7月(1.20倍)以来の低水準だった。新規求人は前年比32.1%減で、宿泊業・飲食サービス業(55.9%減)、生活関連サービス業・娯楽業(44.2%減)、製造業(42.8%減)などで引き続き減少が目立った。

生産

  経済産業省が発表した5月の鉱工業生産指数(15年=100)は前月比8.4%低下の79.1と、4カ月連続のマイナスとなった。低下率は市場予想(5.9%低下)を上回った。自動車工業、生産用機械工業、鉄鋼・非鉄金属工業など15業種全てが低下。自動車工業のマイナス寄与が前月の6割弱から3割程度に縮小した一方、低下が幅広い業種に拡大した。

  基調判断は生産は「急速に低下している」との表現が据え置かれた。製造工業生産予測調査によると、6月は前月比5.7%上昇、7月は9.2%上昇する見通し。予測誤差を加工した6月の試算値は0.2%上昇が見込まれている。

エコノミストの見方

第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミスト:

雇用は悪い。緊急事態宣言が解除され非労働力人口になった人が職探しを始め失業率が上昇。今後もこういった傾向は続くとみている多くの企業がコロナの影響を受けており雇用や賃金の削減など余儀なくされる可能性もある。こうした点は消費に大きな重しとなろう生産は世界経済停滞が重しとなって今回は予想以上に悪化。日本の自動車産業も減産を続けており、生産全体に影響したのではないかただ生産の見通しは明確に今月、来月と回復することを示唆している。そこは悪化傾向が収束する兆しであり、ポジティブな要因生産の初期の戻りは比較的早い可能性はあるが、不透明感が強く正常化するまでには時間を要する。まだ景気の先行きについて安心できるようなところまでは程遠い

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト:

基本的に雇用調整が続いている一方で、4月に労働市場から退出した人が5月に少し戻り始めている6月は経済活動の再開に伴って職探しをする人が増え、失業率が大きく上がる可能性がある。3%台前半まで上がる可能性は十分にあるだろう生産については、5月の実現率は計画から大きく下振れており、基本的には外需の縮小を中心とした需要急減の影響を受けている。内需は消費は持ち直していると思うが、設備投資に弱さがみられる先行きは、消費は持ち直し方向だと思うが、輸出や設備投資は慎重であり、7−9月の伸びも1桁台にとどまりそうだ。4−6月に大きく落ち込んだ後であり、V字回復といえる状況にはならないだろう。どちらかと言えばL字に近い回復にならざるを得ないのではないか

背景

日本の5月の輸出は前年同月比28.3%減と、リーマンショック後の09年9月以来の落ち込みとなった。新型コロナの影響で自動車関連が振るわず緊急事態宣言の発令で外出自粛や休業要請が一段と強化された4月の休業者は597万人と、3月の249万人から倍増した5月の月例経済報告では、新型コロナ感染拡大の影響が続く中、雇用情勢の判断を「弱さが増している」に下方修正日本の6月の製造業PMI(購買担当者景気指数)は37.8と5カ月連続で悪化。生産高は09年3月以来の低水準に落ち込んだ

(雇用関連と鉱工業生産の統計をまとめ、詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新しました)

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