(ブルームバーグ): 日本銀行が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(短観)の6月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス34と、3月の前回調査から26ポイント悪化し、リーマンショック後の2009年6月調査(マイナス48)以来の低水準となった。悪化は6期連続で、マイナスは2期連続。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた経済活動の停滞が企業心理を直撃した。

  大企業・非製造業はマイナス17と、前回調査から25ポイント悪化した。マイナスに転じるのは、東日本大震災後の11年6月調査(マイナス5)以来9年ぶり。悪化幅は比較可能な1983年以降で最大となった。新型コロナの影響が直撃した宿泊・飲食サービスはマイナス91と過去最低を記録した。

  西村康稔経済再生担当相は1日夕方の記者会見で、短観の結果について、「4月、5月の緊急事態宣言の下で経済を抑制したことの影響が色濃く出ている」と説明。極めて厳しい状況であるものの、「段階的に経済活動は再開・拡大されていく中で、少しずつ前向きな動きも出てきている」との認識を示した。また、感染拡大防止策と両立しながら「何としても4月、5月を底にして、内需主導で経済回復を実現していきたいと思っている」と語った。

エコノミストの見方

野村証券の桑原真樹シニアエコノミスト:

景況感の大幅な下落自体は驚きではない。さすがに4−6月が底だとは思うが、先行き見る限り急な回復は見込めないということだと思う製造業は世界経済の動向に左右され続けるだろうし、非製造業に関してもインバウンドが戻ってくるのはまだまだ先だろうから厳しい状況が続く7月は日銀に大きな動きはないだろう。今の政策の枠組みの中で対応して、危機を乗り切ることに専念していくと思う。物価のモメンタムに関してはすでにあきらめている

BNPパリバ証券の白石洋シニアエコノミスト:

どの産業も非常に厳しいの一言に尽きる。先行きに関しても一応改善を見込んでいるが、V字回復が見込まれている感じではない設備投資は意外に底堅く、決して高くはないがプラスを維持。リーマン後に本当に必要な設備投資までも削ってしまい競争力を失った経験が企業にはある。その辺が影響しているのではないか。企業が深刻なキャッシュフローの問題に直面しているわけではないこともうかがえる中小企業は先行きネガティブにみるバイアスはあるが、それを鑑みても相当慎重になっている日銀としては悪い数字だが想定内ということではないか。必要ならさらなる政策も辞さないということであろうが、これまでにコロナ対応の政策は打ち出しており当面はその効果を見極めていくということだろう

詳細(日銀の説明)

足元の判断が過去最低になった業種は、はん用機械、業務用機械、電気・ガス、対個人サービス、宿泊・飲食サービス。自動車は09年6月調査(マイナス79)以来の低さ業況判断では、新型コロナ感染拡大の影響による輸出やインバウンドの大幅な減少、外出自粛による個人消費の減少を指摘する声が幅広く聞かれた大企業は製造業、非製造業ともに改善が見込まれている。感染拡大の第2波や影響の長期化への懸念が聞かれた一方、早期収束を期待する声が上回った設備投資計画は過去の修正パターンに比べて弱め。伸び率も過去平均を下回る。ただ、引き続き人手不足に伴う省力化投資や成長分野への投資など中長期的な観点からの投資への言及も多く聞かれた回収基準日は6月11日、それまでに約7割が回答。回答率は引き続き極めて高水準

背景

新型コロナ感染拡大に伴う経済活動の停滞で、3月短観では大企業・製造業の業況判断DIが13年3月以来のマイナスに悪化。国内では4月の緊急事態宣言で営業や外出が制限され、企業マインドは一段と冷え込んだ緊急事態宣言は5月下旬に解除され、国内の経済活動は段階的に再開されたが、新興国中心に世界的な感染拡大が続く中、第2波への懸念も根強い政府は20年度の1次と2次補正予算を合わせ事業規模200兆円超の新型コロナ対策を決定。日銀も3月以降、企業の資金繰り支援や金融市場安定化のための措置を相次ぎ打ち出し、政府と連携して経済の下支えに取り組む日銀の黒田東彦総裁は6月26日のHLS/PIFS共催イベントで、日本経済は「当面、厳しい状態が続く」とし、「感染症によるショックの二次的影響が経済を大きく下押しするリスクにも注意が必要だ」と指摘

(3段落目に西村再生相のコメントを追加して更新しました)

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