(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月30日、米経済が記録的な縮小から持ち直す中で、新型コロナウイルス感染を抑制することが不可欠だと強調した。

  パウエル議長はムニューシン財務長官と共に出席した下院金融委員会の公聴会で証言し、「われわれは重要な新段階に予想より早く入った。経済活動の回復は歓迎されるが、それはまた、新たな課題、特にウイルスを抑制し続ける必要性を示す」と指摘した。

  米国の一部では感染率の新たな急上昇を受けて経済活動再開の規模を縮小しており、アリゾナ州はバーを閉鎖。ニュージャージー州は屋内飲食再開の計画を停止した。感染拡大の中で米経済を支えるため大規模な金融・財政刺激策が打ち出されてきたが、危機長期化の兆しを受け追加支援策を迫る圧力は強まりそうだ。

  同委の民主党議員らはパウエル議長とムニューシン長官に対し、州・地方政府への追加支援検討の在り方や政府支援と雇用をより強く結びつける方法について質問した。

  パウエル議長はFRBの中小企業向け融資を支援する「メインストリート貸し付けプログラム(MSLP)」に言及し、「利用の敷居を引き下げる可能性が考えられる。極めて少額のローンをわれわれが行うことはロジスティック面で難しい」との考えを示した。

  FRBは6月初め、出足が鈍かったMSLPにより多くの企業の参加を促そうと同プログラムを拡大した。最低融資額は50万ドル(5400万円)から25万ドルに引き下げ、ローン期間は4年から5年に延長した。

  議長はその上で、銀行にはまだMSLP融資について借り手からあまり「多くの関心」が寄せられていないことを認め、「今後数カ月のうちに変わると予想する声が多い」と指摘。当局は必要ならプログラムの方式に多少変更を加えることにオープンな姿勢だと付け加えた。

  ムニューシン長官は政権の目標は「7月末」までに新たな財政刺激策をまとめることだとあらためて表明した。

  パウエル議長は証言で、経済活動の再開について楽観的なトーンを示し、2000万人もの米国民が失業したものの、雇用は上向いており支出が増加している点に言及。その上で、「経済の今後の経路は極めて不確実であり、ウイルス抑制の成否に大きく左右される」と述べ、「人々が幅広い活動を再開しても安全と確信するまで、完全な回復の可能性は低い」と話した。

  議長はまた、いかなる形の景気刺激策も性急に撤回すべきでないと警告。「今後の道のりは、必要な限りの救済提供と回復支援に向け政府があらゆるレベルで講じた政策措置にも左右されるだろう」と語った。

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