(ブルームバーグ): 米製薬会社ギリアド・サイエンシズが新型コロナウイルス感染症(COVID19)治療薬レムデシビルの価格を予想を下回る水準に設定したことについて、アナリストの間で議論が巻き起こっている。開発・製造に投資した10億ドル(約1080億円)余りを同社が回収できるかを巡り意見が割れている。

  ギリアドの29日の発表によると、レムデシビルを5日間投与する場合の価格は民間医療保険加入者向けで約3120ドル、米国やその他先進国政府による直接購入向けで約2340ドルになる。価格は最大5000ドルになるとの予想があったほか、ギリアドもレムデシビルの効果に伴う入院期間短縮により患者1人当たり1万2000ドルの経費節減になると分析していた。

ギリアド、レムデシビルの価格2340ドルに設定−5日間の治療で

  サントラストのアナリスト、ロビン・カーノスカス氏は調査リポートで、レムデシビルの開発・製造で年末までに10億ドル余りを支出するギリアドが短期的に「投資をどうやって回収するのか分からない」と指摘。原価が不明で今年後半に治療を受ける患者数の可変性を考慮した同氏の基本シナリオで、ギリアドの株価評価は約3ドル押し下げられる。

  一方、RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ブライアン・エイブラハムズ氏の視点は異なる。同氏によると、ギリアドが設定した価格は今年の売上高について、投資額を上回る約23億ドルを示唆している可能性がある。これによって新たに13億ドルの利益がもたらされ、2020年の1株利益は約1ドル押し上げられるとリポートで分析した。

  ギリアドの株価は29日、一時2.7%高の76.56ドルを付けた。

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