(ブルームバーグ): 米連邦準備制度は経済にさらなる打撃を及ぼしかねない新型コロナウイルス感染第2波が回避されるよう願いつつ、そのような可能性に着実に備えている。

  連邦準備制度理事会(FRB)はプライマリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(PMCCF)を最後に、新型コロナ感染拡大を受けて打ち出した9つの緊急融資プログラム全ての運用を29日までに開始。新たな感染拡大で経済や金融市場が痛手を被った場合への支援強化策を準備した。

  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「彼らは事態悪化に備えて用意しておきたい考えだ」と指摘した。

  パウエルFRB議長とムニューシン財務長官は30日の下院金融委員会公聴会で証言する予定で、米国の幾つかの地域での新たな感染の広がりに関して議員から質問を受けることになりそうだ。

  FRBは今月10日、連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による最新の四半期経済予測を公表したが、パウエル議長は各参加者が予想に当たって感染の「大規模な第2波」はないと想定したと説明。ただ、議長をはじめとする金融当局者は、感染拡大で経済が脅かされる事態となれば、さらなる対応の用意があることを明言している。

  エバコアISIの中央銀行戦略責任者、クリシュナ・グハ氏は深刻な感染第2波に見舞われた場合について、FRBが導入した一連の緊急融資プログラムが、ほとんど使われることのない民間セクター貸し出しのための補強策から、最前線の融資提供の手段に様変わりすると予想する。

  それはまさに当局者が考えていることでもあるように見受けられる。パウエル議長は16日の上院銀行委員会の公聴会で、社債市場が大幅に改善したにもかかわらず、FRBがセカンダリーマーケット・コーポレートクレジットファシリティー(SMCCF)に基づいて米企業の社債購入を開始する理由について、当局として約束を実行したかったことに加え、経済情勢悪化の場合に力強く行動できることを示したかったと説明した。

  また、ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は中小企業向け融資を支援するメインストリート貸し付けプログラム(MSLP)に関し、商業銀行が合理的な条件で中小企業に融資するとの確信を当局として持つことができる限り、将来の信用収縮のリスクへの保険として融資能力の多くの部分を残しておいてもかまわないと考えるのではないかと話した。

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