(ブルームバーグ): 2020年後半に入った世界経済は、引き続き新型コロナウイルス感染拡大が大きな重しとなり、今や年内の完全回復の可能性はほぼ排除され、21年の回復でさえも多くの条件がうまくいくことにかかっている。

  こうしたシナリオを年初に予想する者はほとんどいなかった。大部分のエコノミストは当時、今年も景気拡大が続き、米中の貿易合意が企業や投資家の信頼感を鼓舞すると見込んでいた。

  しかし、新型コロナの流行によって、世界の人々の多くは国際通貨基金(IMF)が「グレートロックダウン」と呼ぶ状況に追い込まれた。各国・地域の中央銀行や政府は、市場崩壊を防ぐとともに、一時帰休とされた労働者や苦境にある企業を新型コロナ収束まで破綻させないよう、数兆ドル規模の前例のない支援策を打ち出した。

  このような救済の取り組みをもってしても、​世界経済はなおも大恐慌以来最悪の危機に見舞われている。主要国における製造業や小売売上高の幾つかの指標には改善が見られるものの、経済活動の再開はよくても不安定と見受けられ、雇用喪失は一時的なものから恒久的なものに転じる恐れがあり、V字回復の期待は打ち砕かれた。

  リッチモンド連銀のバーキン総裁は経済のこんな軌道について、エレベーターで下に降り、上に戻るには階段を使わなければならない状態に例えた。

  世界銀行のチーフエコノミストに就任したカーメン・ラインハート氏は6月23日、ブルームバーグ・インベスト・グローバルの会議で、「反発を回復と混同する真のリスクがある。本当の回復とは少なくとも危機が始まる前と同程度に順調であることを意味するものであり、それには程遠い」と語った。

  今後の展開は新型コロナ感染拡大やワクチン開発の動向に大きく左右される。

  在中国欧州連合(EU)商業会議所(中国欧盟商会)のヨルグ・ワトケ会頭は「回復はV字でもW字でもなくチェーンソーの歯のようにギザギザで常に痛みを伴う形となるだろう」と話した。

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