(ブルームバーグ): 日本銀行は今月15、16日に開く金融政策決定会合で、現行の金融緩和政策の維持を決める公算が大きい。会合後に公表する新たな「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、経済・物価見通しに大きな変化はない見込みで、年後半にかけて景気が持ち直していくとのシナリオも維持される可能性が大きい。複数の関係者が明らかにした。

  関係者によると、日銀は新型コロナウイルスが経済に与える影響への警戒態勢を維持しつつ、3月以降に実施してきた一連の資金繰り支援策などのコロナ対応策の効果を引き続き注視する構えだ。金融市場は比較的安定しており、企業の資金調達にも大きな問題は生じていないとみている。

  5月下旬に全国的に緊急事態宣言が解除され、段階的に経済活動が再開されている。日銀が1日に発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感の大幅な悪化が確認されたが、大企業は先行き改善を見込み、設備投資需要の底堅さもうかがわれた。関係者によると、日本経済は4月27日に公表した前回の展望リポートで示したシナリオにおおむね沿った動きとの見方が日銀内で大勢という。

  もっとも、感染第2波への懸念も根強い中で、関係者によると、新型コロナの影響による先行き不透明感は依然として強く、下振れリスクが大きい状況にも変化はないとの見方が日銀内で共有されている。

  前回の展望リポートの公表以降、国内で緊急事態宣言が延長されるとともに、新興諸国を中心に感染拡大が続く中で、国際通貨基金(IMF)が2020年の世界経済見通しを下方修正するなど、世界経済の落ち込みは当初の想定よりも大きい、との声が日銀内にあるという。

  関係者によると、新たな展望リポートでは年後半にかけて景気が持ち直していくとのシナリオが維持される可能性が高いが、20年度の実質経済成長率見通し(政策委員の大勢見通し)は下方修正含みになる可能性がある。

  4月の大勢見通しでは、先行きの不確実性が従来以上に大きいことを踏まえ、各政策委員は最大1.0%ポイントの範囲内で実質経済成長率と消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通し(上限値・下限値の2つの値)を作成し、レンジで予想を示した。

  関係者によると、今後もこの方式を続けるかどうかは日銀内で見解が分かれている。一部は通常のようなピンポイントでの予想を可能にするには不確実性が大き過ぎると考える一方、予測不能な状況は幾分改善されたとして9人の政策委員の予想中央値の公表に戻すべきだとの意見もある。

  4月時点の20年度の実質GDP見通しは対前年度比3.0〜5.0%減で、下限でもブルームバーグのエコノミスト予想(5.3%減)よりも楽観的な数値となっている。

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