(ブルームバーグ): 政府と東京都は新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生している接待を伴う飲食店など「夜の街」からの2次感染を防止するため、PCR検査を大幅に拡充するなどの対策強化に取り組むことを決めた。西村康稔経済再生担当相が10日夜の記者会見で明らかにした。

  西村再生相は同日、小池百合子都知事、歓楽街を抱える新宿・豊島両区の区長、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らと具体的な対策について協議。PCR検査の拡大に加え、業界団体がまとめたガイドライン順守などメリハリの利いた感染防止策、スタッフ増員など保健所の機能強化の3つを対策の柱とすることで一致した。

  出席者による協議後の共同記者会見で西村氏は、ホストクラブやキャバクラなど「接待を伴う飲食業の対策が肝だ」と指摘。若い世代の無症状の感染者に対応できるよう、PCR検査を「これまで以上に幅広く、大規模に大胆に拡充していく」と強調した。東京都では、現在1日6500件の検査能力を、1日1万件に拡大することを目指している。

  事業者に対しては、国などの給付金を活用するなどして感染防止策を徹底するよう要請し、利用者には、ガイドラインを守らない店舗は訪れないよう呼び掛けた。将来的に感染が拡大した場合には、特措法に基づく都道府県知事による休業要請も検討するとした。

  池袋のある豊島区では、クラスター(感染者集団)の発生した店舗に10日間の休業を要請する方針で、区が支給する独自の協力金を東京都も財政支援する予定。小池知事はこうした取り組みについて、「他の区とも連携していきたい」と語った。

夜の街クラスターが感染拡大の核に

  尾身氏は、今回の感染拡大は「夜のクラスターが核になって進んだことはほぼ間違いがない」とした上で、そこから家庭内感染、さらに医療機関や地方へも広がっている可能性を指摘した。

  接待を伴う飲食店への対策を強化する一方、若い世代ではコンパやパーティー、ビジネスマンの会食での感染も確認されている。西村氏は、そうした場面での感染防止策の徹底も改めて呼び掛けた。  

  東京都は10日、新たに243人の新規感染者を確認。2日連続で200人を超え、過去最多を更新した。小池知事によると、このうち夜の街関連が110人、年代別では20代から30代が約8割を占めた。

  西村再生相らとの協議に先立ち、小池知事は10日の記者会見で、接待を伴う飲食店の従業員と利用者を対象に、無料通信アプリLINE(ライン)を活用した相談・情報提供サービスを同日から開始すると述べた。来店時にQRコードを読み取って登録すれば、感染者が発生した場合、同じ時間帯に利用していれば通知が届く仕組み。

  NHKによると、10日は神奈川県で32人など全国で合わせて4月24日以来の400人を超える感染発表があった。

イベント開催制限は緩和

  一方、菅義偉官房長官は10日午前の会見で、イベントの開催制限緩和については感染防止策の徹底を前提に予定通り同日から実施する考えを示した。

  政府が示しているの目安によると、大規模イベントはこれまで屋内では収容人数の50%以内、屋外でも十分な間隔を取れば1000人を上限に開催できるとしていたが、10日以降は5000人までとする。無観客だったプロスポーツも、5000人規模の観客動員が可能となり、プロ野球は同日から観客を入れて試合を行った。

(西村再生相、小池都知事らによる協議後の記者会見の内容を追加して更新しました)

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