(ブルームバーグ): 東京都は15日、新型コロナウイルスの感染状況について、専門家の評価に基づき設定する警戒レベルを4段階のうち最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。小池百合子知事は臨時の記者会見で、「感染拡大警報を発すべき状況」であるとして、都民に感染拡大防止策の徹底を改めて呼び掛けた。

  小池知事は記者会見で、都民に十分な感染防止策が講じられていない飲食店などの利用を回避するよう求めた。他の道府県への不要不急の移動はできるだけ自粛するよう要請し、政府が22日から開始予定の「GoToキャンペーン」の観光割引について「実施時期や方法などについては改めてよく考えてほしい」と再考を促した。

  都民・事業者への呼びかけは、特措法24条に基づくものとした。小池知事は、特措法の実効性を上げるため、国に対しては休業要請に応じない事業者への罰則の適用など、同法改正を「改めて強く求める」との考えも示した。

  モニタリング会議で国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、現在の状況について4月に緊急事態宣言が発令された第1波とは新規感染者の年齢層、重症度が明確に違うとの見方を示す一方で、夜の繁華街がある新宿区だけでなく世田谷、港、中野各区などにも感染が拡大しつつあると報告した。

  警戒レベルの引き上げについて大曲氏は、前回の流行とは様相が違うため、議論があったとしながらも、「これだけの数が出てきているのは無視できない」と述べた。感染が爆発的に増加しているかどうか判断するには時間が必要との見解を示した。

  都は7月から、新たな指標に基づき、専門家による現状の分析結果を週1回のペースで公表している。前回9日の会議では、感染状況の評価は深刻度が上から2番目の「感染が拡大しつつあると思われる」だった。医療体制については4段階のうち2番目に深刻な「体制強化が必要であると思われる」と評価しており、15日の会議でも判断を据え置いた。

  続いて開かれた都の対策本部会議で小池知事は積極的な検査の拡大、地域の実情を踏まえたピンポイントの対策、年齢や業態別のきめ細かい対応の三つの方向性で対策を進める考えを示した。

  NHKによると、都内では15日、新たに165人の感染を確認した。都内の新規感染者は、2日から6日連続で100人超えとなった後、8日にはいったん75人に減少したものの、9日に224人、10日に最多の243人となり、11、12両日は206人と1日当たりの感染者数が4日連続で200人を超えた。13日は119人、14日は143人だった。

  新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は15日の衆院予算委で、現在と4月の緊急事態宣言発令前の状況とを比較すると、重症者数や医療・検査体制などが「明らかに違う」との認識を示した。感染の広がりを示すエピカーブ(流行曲線)については「やや穏やかな増加」とした。ただ感染経路不明の増加や地方への感染拡大が「一番の懸念」とも語った。

  西村康稔経済再生担当相は15日の記者会見で、「東京都と危機感を共有している」とした上で、特に高齢の感染者数の推移を注視する考えを示した。東京都が他の道府県への移動自粛を呼び掛けたことについては、「知事の責任の範囲」であるとして、現時点では県をまたぐ移動は自由とする政府方針に変更はないとの認識を示した。政府は16日午後6時から同分科会を開き、今後の対応などについて検討する。

(最終段落に西村再生相の発言を追加し、更新しました)

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