(ブルームバーグ): 電気自動(EV)メーカーのテスラや決済サービスのスクエア、遺伝子検査のインビテなど、グローバルで成長期待の高い銘柄群を集めた日本のファンドが発足1年余りで資産総額を5倍弱に拡大させている。

  日興アセットマネジメントが運用する「グローバル・プロスペクティブ・ファンド」の純資産総額が5000億円を突破した。2019年6月の設定時は1136億円だったが、現在はETF(上場投資信託)を除いた資産総額で10位となり、日興AMの単独ファンドでも最大規模。ブルームバーグ・データによると、過去1年のリターンは10億ドル超の日本のファンドとしては首位となった。

  資産運用サポート部の副部長、先山哲也氏は、ファンドの狙いを「将来の『ウィンテル(マイクロソフトやインテル)』や『FANG』を買いにいく」と語る。投資先は破壊的イノベーションを起こし得る企業で、大半が米国であるほか、スイスやイスラエルなどが続き、日本企業の影は薄い。銘柄発掘には米運用会社アーク・インベストメントの調査力を活用する。

  好パフォーマンスの代表例がテスラだ。株価200ドル台で赤字企業だった同社は、ファンド設定時から組み入れトップ。当初は疑問の声も上がったが、「見立て通りに販売台数と利益を伸ばしていく現実をみて、予想通りになったことが改めて評価された」と先山氏は振り返る。アーク社は人工頭脳など複数のイノベーションで有望企業を発掘しているが、このファンドは「横断的に確信度の高い銘柄を集めたベスト・オブ・ベスト的存在」と言う。

  同氏は、「大事なのはイノベーションに着目した投資。5年、10年かけてイノベーションをけん引する企業はバリュエーションで測れない」と語る。そこで重視するのはタイムラグの存在だ。アーク社によると、イノベーションは「新しモノ好き」を中心に初期ブームが起きた後、一般に普及する前に踊り場が訪れることが多い。パソコン時代を築いたウィンテル、スマートフォン時代を到来させたアップルなど、踊り場で売却していたら大きな果実を得られなかった例を反面教師にする。

  もっとも、新型コロナウイルスの感染収束が見えず、経済環境は不透明。先山氏は、「どこかの時点で市場のボラティリティー(変動性)が高まる場面もありそう」とみる。中小型株の組み入れが多く、「上昇場面、下落場面ともに変動は大きくなりやすい」。ことし春には基準価格が1万2000円台から7000円台に急落した。ウィンテルなどもITバブル崩壊でボラティリティーは大きかったが、「持ち続けることができるとポテンシャルにもつながる」と同氏は話す。

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