(ブルームバーグ): 世界1、2位の経済大国が今、南米エクアドル領ガラパゴス諸島の周辺海域を巡り激しく対立している。チャールズ・ダーウィンが進化論を着想するきっかけを得たこの島々は、エクアドル沖約900キロメートルの太平洋上に浮かび、世界自然遺産にも登録されている。

  ガラパゴス海洋保護区近くに現れる数百隻の中国漁船をポンペオ米国務長官は非難。これに対し、中国政府は「不和の種」をまこうとしている米国の政治家による中傷だと反発している。

  約260隻から成る中国船団がやって来たのは、高級食材のフカヒレが採れるサメがこの海域に多数生息しているためだとエクアドルでは広く考えられている。エクアドル海軍は2017年、海洋保護区に迷い込んだ中国船を拿捕(だほ)。船内で6000匹を超えるサメが冷凍保存されているのが見つかった。

  ガラパゴス諸島・エクアドル本土間の国際水域で先月拿捕されたのはリベリアやパナマの船籍を含む中国漁船団だ。法律上は国際漁業が可能なこの海域だが、3年間にわたり中国船団が現れ、エクアドル国内で抗議活動が起きていた。

  ポンペオ長官は先週末、「持続不可能な漁業慣行やルール無視、意図的な海洋環境破壊を中国はやめる時だ」とツイート。「われわれはエクアドルを支持する。違法かつ無断での乱獲をやめるよう中国政府に求める」とコメントした。

  中国外務省は6日、9−11月の漁業資源保護のため、ガラパゴス保護区西側の公海における漁業に関する覚書に合意したと発表。同省の汪文斌報道官は国連海洋法条約に参加していない米国は「海洋問題について他国を批判する立場にはない」と述べた。

「エスペランサ」が消えた

  貴重な海洋野生生物が脅かされている現状のシンボルとなっているのが、希望を意味する「エスペランサ」と名付けられたメスのジンベイザメだ。衛星利用測位システム(GPS)発信器が取り付けられていたが、中国船団の近くで通信が途絶えた。

  エクアドルのモレノ大統領は18年以降、米国との関係を強化。エクアドルは昨年、米主導の海軍演習にも参加した。だが中国を遠ざける余裕はない。対中債務53億ドル(約5600億円)を抱え、中国は2番目に大きな輸出市場だ。そしてエクアドル財務省によれば、同国はまた中国からの新規融資24億ドルの確保に近づいている。

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